甘さの中には苦みも隠れ
「…おせぇな」
出掛ける準備をして玄関でマーモンを待っていたスクアーロは時計を見ながらぽつりと呟いた。
10分後には集合だって言ったのにあいつ…いつもなら時間厳守で来るってのに…。
「あ」
そこでふとスクアーロは思い出す。
そういやあいつ、今少量のアルコールで酔ってたな…。
いつも酔うとすぐ寝ちまうし、もしや…。
「仕方ねぇ…迎えに行くか」
小さくため息を漏らしながら玄関から離れてマーモンの部屋へと廊下を歩き出す。
「あ、鮫発見」
「あ"…って、なんだベルか」
背後から聞こえてくる声に、スクアーロはピクリと反応を示しながら振り向くと、そこには頭の後ろで腕を組んでいるベルの姿があり歩みを止めた。
「なんか用かぁ」
「んなわけねーじゃん、王子今から任務行くところで見かけたからおちょくってやろうかなーって」
そういや、こいつ今日任務だったな。
ベルの言葉で思い出し、よく姿を見てみると隊服を着ており、服の隙間からナイフが見え隠れしている。
「わりぃが、俺は暇じゃねぇんだ
茶化す暇あんならさっさと任務行け」
「…」
シッシッと手で払う仕草をしながらベルを追い払おうとすると、自分の服装をジーッと見ていることに気付いた。
「なにそんな見てやがる」
「今日はやけに気合入った服着てるじゃん
もしかして、マーモンとデート?」
ニンッとはにかみながら茶化すような口ぶりで言うベル。
それを見てスクアーロはベルを見返すと、ベルははにかんだ状態で首を傾げる。
「うししッ、せーかい?」
「…まぁ、デートって言えばデートだな
あいつの買い物に付き合うだけだが」
「…ふぅん」
スクアーロが否定せずに答えると、ベルの表情から先程の笑みが消え一瞬間を置いてぽつりと呟いた。
「マーモンのやつ、王子の時は自分の買い物とかしねぇくせに」
「それはお前が振り回してるからだろが
お前のお守りしてたら、そりゃ自分の欲しいものなんて見てる余裕ねぇっての
そもそも、あいつの買い物って言っても何を買うかまでは分かってねぇんだよな」
「ししッ、マーモンの事だしバレンタインだから限定の菓子とかじゃね?」
「…」
こいつ…やっぱマーモンのことよく知ってんなぁ…。
「あん?なんだよその嫉妬にまみれたような顔」
「…別に、なにもねぇ
残念だが、すでに大量の菓子類でテーブル埋め尽くしてたからそりゃハズレだ」
「んま、そーだと思ったわ
あいつ1ヶ月前からオンラインショップとかガン見して購入とかしてたし
つーか、そんならなおさら何買うんだか
あいつの場合、金使うとしても菓子ぐらいだし」
「さぁな、とりあえず俺はあいつのお守り兼デート行くからお前もさっさと任務行け」
「お守り?デートなら分かるけどなんであいつのお守りなんてすんだよ」
「あいつ、アルコール入ったチョコ間違えて買って食っちまったせいで若干酔ってんだよ
そんなやつを1人で行かせられねぇから俺も行くことにしたんだ」
「…あー…なーるほど?」
「?」
スクアーロが呆れ混じりに告げると、ベルが意味深な反応を示してスクアーロは頭に?を浮かべた。
「なんだぁ?なんかわかったのか?」
「わかったけど、くっそ腹立つから教えてやんねッ」
「あ"ぁ?!」
「んじゃ、王子任務だからばいびーッ」
スクアーロの横を通り過ぎ、ひらひらと手を振りながらベルは去っていき、1人残されたスクアーロはベルが去っていった方向をジッと見つめる。
「…あいつ…妬きもちで派手にやりすぎねぇだろうなぁ…」
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