約束事には忠実で
「…うわ」
滅多にない休みの日。
部屋の中で昨日の任務の報酬が記帳された通帳を満足気に眺めていたマーモンは、不意に部屋の扉がノックされて出てみる。
すると、普段はヴァリアーのアジトに来ないであろうリボーンの姿があり、小さく声を漏らしてしまった。
「うわ、ってなんだよその反応は」
マーモンの様子にピクリと反応を示したリボーンは、微かに眉間に皺を寄せる。
「いや…滅多にこっちに来ない人物が現れたからね…なにか用?
僕も暇じゃないんだけど」
「嘘つけ、どうせ通帳でも眺めてにやついてただけだろ」
「ムム、にやついてはないよ」
「通帳見てたのは否定しねぇのかよ」
「まぁ、実際見ていたしね」
部屋の前で立ち話をしていると、通り過ぎていく部下達の視線が気になってしまい、"とりあえず入りなよ"とリボーンに中へと入るように促した。
リボーンは促されるがままに部屋へと入り、マーモンは扉を閉めるとリボーンの後ろをついていく。
「…それで、用件は?」
ソファーを指差しながら言うと、リボーンはソファーに腰掛けてマーモンは隣へと座った。
リボーンがここまで来るのは珍しいからね…。
なにか、厄介事か…はたまた…。
「お前、この前俺とした約束は覚えてるか?」
「…約束?」
そんなことしたっけ?
マーモンは覚えがないのか、不思議そうに首を傾げてリボーンから視線を宙へと移す。
約束…この前って…なんだっけ?
この前リボーンと会ったのは2週間前…沢田綱吉に勉強を教えに行って、それ以来連絡取り合ってなかったはず…。
うーん…。
"綱吉の勉強週間が終わって、2週間後に休みがあるんだけど…手帳見ないと細かい日程分からないから今は伝えられない"
"だけど、もし君との都合がついたら…そしたら…デート…は…どう…かな…?"
"お前からの、初めてのデートの誘いなんだ…嫌がるわけねぇ"
「…あ」
ふとマーモンの口から声が漏れ出た。
「その反応だと忘れていたようだな」
マーモンの反応を見て察したのか、リボーンは呆れたようにわざとらしく大きなため息をつく。
「言い訳なら聞くけど、どうする?」
「…いや、言い訳のしようもないよ
これは完全に僕が悪いね」
ほんの少しだけ考えるも、明らかに言い出した自分が悪い。
「やけに素直だな」
「素直も何も、言ったように僕が完全に悪いんだからしようがないだろう?
というか、僕が今日休みなのはなんで知ってるんだい?
日程伝えるって言ったっきり、連絡取ってないから知りようがないと思うんだけど」
「そりゃ、お前から連絡ねぇからスクアーロに聞いたんだよ
"マーモンに用があるから、次の休みの日にち教えろ"ってな」
スクアーロめ…余計なことを…。
まぁ、リボーンに聞かれたら答えるまで聞き続けるだろうから仕方がないか。
「それで?」
「ム?」
座っていたソファーから立ち上がりながらリボーンは不意に問いかけてきてマーモンは首を傾げる。
「どうすんだよ」
「どうするって…なにが?」
「…決まってんだろ」
スッとマーモンの目の前に差し出される手。
その手を見つめていると、自分の上から再びリボーンの言葉が聞こえてきた。
「デート、行くのか?」
「…」
「俺はその気で来たんだが
それに、褒美も貰えてねぇし」
「…もうお昼だけど」
「別に昼だろうが行けるだろ
お前、明日も任務休みなんだしよ」
「ムムム、そこまで把握済みか…」
見つめていたリボーンの手に自分の手を重ねてマーモンは立ち上がった。
「…言い出したのは僕だからね…デート、行こうか」
「…おぅ」
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