唯一無二にはなれなくて


「…」

「ねぇ、どうなんだいスクアーロ?
君はいったい、誰の物なのさ」

スクアーロの返答を待ちながら、マーモンは口にくわえていた指を離し、うっすらと指に残る自分の歯型に触れてその指をジッと見つめる。
瞳を細めながらしばらく見つめた後、マーモンはその指を自分のローブで拭き始めた。

「…なにしてんだ?」

「ごめん、涎ついたから」

「…ッ…くく」

スクアーロに問われ、指を拭き続けながら答えるとスクアーロはきょとんとした表情を浮かべた後に小さく吹き出し、その反応にマーモンは見上げながら首を傾げる。

「なにさ」

「いや…今そこ気にするタイミングじゃねぇだろ…ッふ…はぁ…」

笑いを堪えるような声を漏らすスクアーロをムッとした表情で見ていると、やっと落ち着いたスクアーロがマーモンの頭へと手を伸ばして優しく撫で始めた。

「…わりぃ、大人げなかった」

「…本当にね」

少し申し訳なさそうに謝りだすスクアーロを見上げた後に、マーモンは小さく息を吐きだすと掴んでいた指から手を離す。

「ここ、痛くて敵わないよ」

未だに痛む首筋にそっと触れながら言うと、スクアーロは"あー…"と気まずそうな声を漏らした。

「怒りに我を忘れてたとは言え…自分でも引くぐらい痕残ってらぁ」

マーモンの手の上に自分の手を重ねて同様に指で確認していたスクアーロだったが、あまりに強く残った自分の歯型に少し驚き気を見せる。

「いてぇか?」

「痛いよ、そりゃ」

…でも…こうやって、彼が跡をつける相手は…僕だけなんだよ…。











唯一彼に。

こうして身体に。

彼のものだという痕跡を、残してもらえる。











ボスではなくて、僕だけに…。












「ゔぉぉい、なに笑ってんだ」

「え?」

無意識に表情が緩んでいたのか、訝しげな表情で顔を覗き込まれマーモンはハッとすると自分の頬を手で押さえる。

「…笑ってた?」

「笑うっつーか、にやけてた
なんかおもしれぇことでもあったか?今」

「…別にないけど…」

首筋に触れながらスクアーロからスッと視線を逸らし、口ごもってしまう。










…僕、別に…Мとか、痛いのが好きなわけじゃないんだけどな…。











「…ねぇ、スクアーロ」

「なんだぁ…ッと…」

名前を呼びながらマーモンはスクアーロの太腿の上へと乗り、被っていたフードを脱ぐと先ほど噛まれた首筋が見やすいように服をはだけさせた。














「…もう一回、ここ…噛んでくれる?」












スクアーロから与えられる痛みは…嫌いじゃない。











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