いつから抱いた恋心
日付を跨いだ頃、任務を終えてアジトへと帰ってきたスクアーロは自室の部屋の前につき扉を開けようとドアノブに手を伸ばす。
が、部屋の中から気配を察し一度動きを止めるも小さく息を漏らしながらドアノブを回して中へと入った。
「…お前、勝手に入るなって言ってんだろぉ」
「ム…」
中に入っていくと、我が物顔のようにソファーへと腰掛けて書類に目を通しているマーモンの姿があった。
この光景に慣れてしまったスクアーロはマーモンへと近付きながら声を掛けると、書類から目を離してマーモンはスクアーロを見上げる。
「やぁ、おかえり」
「"おかえり"じゃねぇ
てめぇ、毎度毎度俺の部屋に入りやがって」
羽織っていた上着を脱いでハンガーにかけながら、どうせ言っても聞かないであろう言葉を投げかける。
「何度も言うが、無闇矢鱈と他の奴の部屋に」
「書類、今日中にやっておかないといけなさそうなのはやってあるよ」
「…」
マーモンへと体を向けて注意をするも、テーブルの上に置かれた書類の山を指さしながら言われスクアーロは書類に視線を移して黙り込んだ。
確かに、今日中に見なきゃいけねぇ書類で任務終わりやろうとしていたが…。
「…はぁ」
スクアーロはため息をつくとマーモンの頭に手を伸ばしてわしゃりと少し雑に撫でる。
その反応にマーモンは"ふふッ"と満足そうに声を漏らした。
「謝礼はSランクの報酬でいいよ」
「う"ぉぉい、俺が頼むんならまだしもてめぇが勝手にやったことだろがぁ!調子に乗るんじゃねぇぞ!」
「むぎゃッ!」
金銭の話が出てきてスクアーロはイラッとしながらマーモンの頭をスパンッと叩いた。マーモンの口から痛みから声をあげ頭を手で抑えて悶絶し始める。
それに"ふんッ"と鼻で笑いながらスクアーロは背中を向けた。
「どうせ"いつもの"でここに来たんだろぉ
シャワー浴びてくるから待ってろ」
「ムムム…わかったよ…」
未だに頭が痛むのか唸り混じりに返事をするマーモンを置いて、スクアーロは浴室へと向かった。
あいつがこうやって俺の部屋に勝手に侵入する理由はただ1つ…。
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