ここからここまで
「…」
「だめ?」
「…はぁ…」
甘えるような声色で小首を傾げるベルを見て、マーモンは深いため息をつく。
「まぁ…2日我慢出来たし…いっか…」
ベルの頬に触れている手を頭に移動させて、マーモンは褒めるかのように優しく撫で始めた。
「そんなに僕に触れないのが嫌だったのかい、ベル?」
「…ん」
普段のわがままな王子様とは違い、しおらしさの目立つベルに思わずマーモンはキュンとしてしまい、ススーッと目を逸らす。
なにこの可愛い生き物…。
「…なんか、ごめん…そこまで君が…その…元気無くすとは思わなくて…」
「…いつもお前に触れてたんだし、当たり前じゃん
お前は、俺に触られなくて寂しくなかったのかよ」
「…ムム…それは…まぁ…少し…その…」
ジトリとした視線が自分に向けられてることが分かり、マーモンはぶつぶつと言いづらそうに呟いた後、ベルから視線を逸らした。
「なに?聞こえねぇ」
「うぐ…そ…りゃ…」
「…そりゃ…僕も寂しかったけど…」
「…」
「でも、君ももう16歳なわけで、僕も赤ん坊ではなくなったんたからさ…そこは弁えないと
本音を言えば、僕だってまだ君にたくさん触れたいし、可愛がりたいけど…」
ベルの頭に触れていた手をそっと離し、マーモンはベルの肩に自分の額をこつんと当てながら寄りかかった。
微かに香る、ベルがいつもつけている香水の匂い。
その香りのおかげが、少し落ち着いた気持ちになったような気がする。
「…はぁ…ごめん、ベル」
「ん?」
「都合がいいのは分かってるのは重々承知してる…してるんだけど…その…ぎゅーして…くれるかい?」
「…」
「…ほんと、都合が良すぎることはわかってるんだ
わかってるんだけど…そもそも、君がいつも僕のこと抱きしめてたのが悪いんだからな…
君のくっつき癖のせいで僕にまで影響与えちゃってるんだから、責任を…」
ググッ。
「ムム…?え、ベル?」
大人しくしていたベルだったが、マーモンの肩にそっと手を置いて力を込め始め、マーモンは戸惑ったような声を漏らす。
「ベ…むぎゃッ!!」
再び名前を呼ぼうとするも、そのままソファーの上に勢いよく押し倒されてしまい、マーモンは驚いたように瞳を丸くしてベルを見上げた。
すると、ベルはいつものように口角をあげ笑みを浮かべていた。
「…うししッ」
「…ベ…ベル?」
「マーモン、ちょろ過ぎじゃね?」
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