ここからここまで
「いったいどうしたんだい、ベル?」
ベルに誘われるがまま部屋へとついてきたマーモン。
部屋の中へと入ると、パタンと扉を閉めて先に中に入っているベルへと身体を向けて近付いた。
ベルはソファーへと腰掛け、"ん"と自分の隣をポンッと叩き隣に座るように促し、マーモンは小さく息を吐くとゆっくりと隣へと腰掛けた。
「…」
「…」
2人の間に沈黙が流れ、マーモンはどうしたものか、とベルにチラリと視線を向ける。
ベルは黙り込んだままジッとしており、いつもの元気がないことが目に見えてわかった。
元気がない、というか…怒ってる…?
いやでも、怒ってたらもっとベルわかりやすいからなぁ…怒ってるわけではない…のか…?
「ベ」
「マーモン」
「ッ?!」
しびれを切らしたマーモンが名前を呼ぼうとすると、それに被さるように自分の名前が呼ばれ思わず身体を跳ねさせてしまう。
「な、なにベル?」
「…なんで王子は、マーモンに触っちゃいけねぇの?」
スッと身体をマーモンへと向けて、距離を詰めるようにベルはマーモンへと身体を近付けていく。
「スクアーロはお前に触ってんのに」
「ちょ、ちょっと…ベル…?」
真剣な、少し寂しさの籠もった声色のベルの前髪の隙間から切なそうに細められる瞳が見え隠れする。
その表情にマーモンは驚いたように目を丸くした。
「マーモン」
「ッ」
ベルはマーモンの手を取ると自分の頬に軽く触れさせる。
自分の手からベルの体温が感じ取れ、触れ合わずに2日しか経っていないというのになぜか懐かしく感じた。
「王子がお前に触っちゃいけないならさ」
「お前が王子にたくさん触れてよ、マーモン」
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