ここからここまで
「マーモン、この前本部から持ってきてもらった書類なんだが」
「ム、どれだい?」
「…」
談話室のソファーに隣同士に座り、スクアーロが差し出した1枚の書類を覗き込むように見ているマーモン。
この2人の様子を少し離れた椅子に座りながらベルは眺めていた。
「あらあら?そんなにマーモンの事熱烈な眼差しで見つめちゃって…どうかしたの?」
「…べっつに、なんもねーし話しかけんなオカマ」
フリルのついたエプロンを身に着けながらテーブルの上へと焼き菓子を置くルッスーリアに話しかけられたベルは、マーモンから目を離さずに返事のみをする。
マーモンの奴、他の奴等とは距離変わんねぇのな。
変わったのは、俺との距離感だけ。
"今日から1週間、ここからここまでが僕達の距離ってさ"
そう言われたのが2日前。
あれ以来、抱っこするのはもちろんだめで、触れたりするのもさり気なく避けられてしまう。
スクアーロとはあーんなに近くて、肩も触れ合っちゃってるくせ王子はだめなのかよ。
仕事の話をしているのは重々承知。
だけど、あそこまで近くにいる必要あるわけ?
あー…。
「…くっそ腹立つ」
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