お菓子をくれなきゃ


「はい、これ」

「…?これは?」

30分ほどしてシャワーを浴び終えた雲雀が頭にタオルを乗せた状態で部屋に戻ってきたかと思えば、1つの袋を手にしておりそれを差し出された骸は不思議そうに雲雀と袋を交互に見て疑問を口にした。

「君がお菓子って言ってたからね、家に置いてあって僕はどうせ食べないしあげる」

「はぁ…ありがとうございます」

差し出された袋を受け取りながら礼を言い、中を確認するとほとんどがチョコレートで骸が好きなものがたくさん入っていた。

「あ、これ僕好きなんですよ」

「そう、それならよかったね」

「…おや?」

隣に座る雲雀に嬉しそうに声を掛けるも、あまりにも自分の好きなものばかりが入っていることに偶然にしては出来すぎているな、と思い始める。

…そういえば、いつもならシャワーだけであれば30分とかからないはず…。











…まさか…。












「…クフフ」

1つの考えが頭を過り、骸の口から笑みがこぼれる。

「なに笑ってるの?」

「いえ、別に…ありがとうございます、恭弥」

「…どういたしまして、骸」

「?」

礼を告げて早速お菓子を食べようと1つ手にすると、雲雀が骸の顔を覗き込んでスッと手を差し出してくる。











「トリック・オア・トリート」











「え?」

「え?じゃないよ
まさか君、自分だけがもらえると思ってたの?」

思いも寄らない発言に驚いていると、雲雀は口元に微かに笑みを浮かべながら骸へと距離を詰める。

「い、いえだって貴方…突然…」

「突然もなにも、今日はハロウィンなんだろう?」

「そうですが、貴方あまりお菓子は好まないじゃないですか」

「そうだね」

「それならば別にいいではないですか!」

「へぇ、なら君は僕にくれないってこと?」

「くれないもなにも、今手元にな…ッ!」

だんだんと詰められていく距離。
発する言葉に悩んでいると、雲雀は骸の肩を掴んでグッと力を込めてそのまま畳の上へと押し倒し、覆い被さるように骸を見下ろした。

「いッ…あ、貴方…ね」

「くれないんじゃ仕方ないよね」










「さて、どうやって悪戯しようか」











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