お菓子をくれなきゃ
「おい、さっきから…ッ?!」
骸に問いかけようとすると、ふと自分の身体に違和感を感じ、マーモンは自分の身体へと視線を下ろした。
「クフフ…気付きましたか」
「ッ…お前…」
自分の服装が先ほど着ていたパーカーとは違い、赤と白を基調としたフリルのついた服装へと変わっていた。
「どうです?傑作でしょう?
赤ずきんの服装は」
満足げな笑みを浮かべながら骸はマーモンへとスッと距離を詰め顔を近づけた。
マーモンはそれに合わせるように後ずさる。
「…どうにかしろよ、この服」
なんでよりによもよってスカートなんて…足スースーして寒いし。
それになにより…男だしこの年でこの格好は痛すぎる…!
ギリッと歯を食いしばりながら骸をフード越しに睨みつけるも、怯む様子はなく骸は笑顔のまま。
「おや?元アルコバレーノである貴方であれば僕の幻術など容易く自分の幻術で上書きできるのでは?」
「ッ…今日は休日だからね…なるべく使いたくないんだよ」
「休日…あぁ、なるほど」
「だから早くどうにか」
〜♪
「…なんですか、いいところで」
骸のスマホの着信音が鳴り、テーブルに置かれていたスマホを骸は手に取ると画面に表示された名前を見て耳に当てた。
「もしもし…あぁ、恭弥ですか
そちらはもう終わりましたか?」
電話の相手は雲雀だったのか、ふと瞳を閉じながら骸は会話を始める。
「…はい、そうですか…満足したのならなにより
僕ですか?マーモンとホテルに…え?いえ、別にホテルにいるだけでやましいことはしていませんよ?
え、なんでそんなに怒っているのです?
ちょ、待ってください、本当になにもないですから…今からこちらに?
それはちょっと…今いいところなのであとで合流を…」
最初は嬉しそうに会話をしていたが、だんだんと骸の顔から焦りが見え始め、時折マーモンをチラチラと視線を向けた。
「いえ、ですからやましいことはなにも…あッ、恭弥?!」
戸惑いながら雲雀の名前を呼んだ後、骸はスッとスマホを持っていた手を下ろして黙り込んだ。
…なんだ?会話を聞く限り雲雀恭弥と話していたみたいだけど…。
「…ねぇ、骸…?早く幻術を」
「…マーモン、一刻も早くこの場を離れますよ」
「は?あ、ちょ…!」
骸は立ち上がりマーモンの腕を掴むと2人分の手荷物を持ってそのまま部屋の扉へと向かい、マーモンは突然の行動に驚きながら連れられるがままに歩いた。
「いきなりなんだよ!それにまだお菓子食べ切れてな」
「どうせここは貴方の滞在ホテルなんですから、あとで戻ってくればいいでしょう?
少しの時間でもいいので今すぐに」
そう言いながら骸がドアノブに手をかけて開けようとすると、その前にドアノブが回され、骸の動きが固まった。
「骸?」
動きが止まった骸を後ろから覗き込むようにして見ると、扉がゆっくりと開かれて、その先の光景が露わになる。
「…見つけた」
「ッ…き…恭弥…」
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