貴方の心を癒すのは?


「…ったく…毎度のことのように、こいつのこと部屋に運んでる気がするぜぇ…」

自室へと辿り着いたスクアーロは自分のベッドへとマーモンを寝かせながら、いつも行っている行動にぽつりと呟いた。
マーモンは未だに起きる気配は見せずに眠り続けており、フードを優しく脱がしてやると素顔が露わになる。

…こんなに動かしたり顔晒したりしても起きねぇとは、相当疲れが溜まってたんだろうな…1週間ぶっ続けだったし。

…にしても…。

「なんでクソボスと一緒に寝てたんだぁ…」

そこなんだよな、問題は。
ボスのことだから、マーモンに手を出すとかはあり得ねぇ。
好みがまるで違うからな。
なら、ただ単に寝てただけ?わざわざ?隣で?
ボスに問い詰めたところで絶対なにも言わないだろうが…。

「…念の為、確認してみるか…」

悶々と考え込んでもなにも思いつかず、念の為確認しておこうとマーモンのローブのボタンをゆっくりと外していく。
それでも、マーモンは起きる気配を見せずにピクッと身体を跳ねさせるのみだった。

いつもだったら起きるのに起きやしねぇ。
え、これ生きてるよな?ちゃんと呼吸は…。

トクン…トクン…。

「…してる」

あまりの反応の無さに心配になって胸に耳を当てると、ちゃんと心臓の鼓動を感じてほっと一息をついてローブの下に着ているワイシャツのボタンを1つ、また1つと胸板が見えるところまで開けていく。

…なんか、これあれだな…。

衣服が乱れた状態で眠っているマーモンをジッと見下ろし、思わずゴクリと息を呑む。

ここまで反応がねぇと、いささか罪悪感が…。
つか、確認の為にここまでやったが確認もなにも2人で寄りかかって寝てたんだからなにか起きてるわけねぇだろ!
俺も相当疲れてるのか、あるいは…こいつに会えなくて溜まってるのか…。

ふと我に返り己の行動に深くため息をついて、先程自分で開けてしまったマーモンのワイシャツのボタンへと手を伸ばす。

こいつが起きる前になんとかしねぇと、誤解させちまう。
早く元の状態に。

「…ん…ッ…」

「?!」

1つボタンを閉めたところでマーモンが声を漏らしながら目をごしごしと擦り始め、スクアーロはビクッと驚きのあまり肩を跳ねさせ動きを止めた。

「…ぅ…ん…すく…?」

スクアーロを視界に入れたのか、マーモンはぼーっとした表情でスクアーロを見上げ舌っ足らずな言葉を発する。

「…よぉ、マーモン」

やべぇ、起きちまった!!
早くこの場をどうにかやり過ごさねぇと!!

「あのな、マーモンこれはだな!深いわけ…が…」

言い訳をしようとスクアーロが慌てて言葉を繋げようとすると、マーモンが両手をスクアーロへと伸ばしてそのまま自分の元へと引き寄せ、突然の出来事にスクアーロは瞳を見開いた。

「ゔぉ、ぉいマーモン」

「…すく…おつかれさま…」

マーモンに顔を向けると眠たげな表情でそう言いながら自分の頭を優しく撫でられ、再び言葉を失ってしまう。

「おつ…か…ん…」

頭を撫で続けようとしたマーモンだったが、だんだんと言葉が小さくなっていき、しばらくすると寝息が聞こえ始め頭を撫でていた手の動きが止まる。

「…マーモン?」

ゆっくりと身体を動かしマーモンの顔を覗き込んでみると瞳が閉じられており、再び夢の世界へと入ってしまったことがわかる。
スクアーロは少し動きを止めて考え込んだ後、マーモンの背中へと手を回して優しく抱きしめると、顔を首筋へと埋めた。










…これは…。










「…悪くねぇ…かもな」











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