嫉妬と葛藤
「悪いね、連れ出して」
「別に、俺が勝手についてきてるだけだ」
ツナの家から抜け出し、月の明かりに照らされた夜道を歩きながらマーモンがリボーンに声を掛けると帽子を深く被りながらリボーンは返事をした。
月の明かりがあるにしても、夜の暗さのせいか表情がうまく読み取れない。
「まだ拗ねてるのかい?」
「…最初から拗ねてねぇ」
「…本当に、素直じゃないね君は」
リボーンの隣にそっと寄ると、マーモンは手を伸ばしてリボーンの片手に触れて自分の手を上から重ねた。
「僕と手、握りたいほど拗ねていたくせに」
「…お前な」
不意を突かれた表情になったリボーンだったが、すぐにマーモンの手を握りしめながら深いため息をつく。
「質わりぃな、本当」
「ふふッ、たまにはいいじゃないか
いつもは僕が妬いてる立場だからね」
「なぁにが妬いてる、だ
自分から連絡寄越さねぇで今回みたいにいきなり姿現しやがって」
「極秘任務だから仕方ないさ」
「都合のいい言葉だな、まったく」
「でも、綱吉に妬いてる君は本当に見ていて気分がいいね
変なちょっかい出されてしまうけど」
「手触れるくらいなら可愛いもんだろ?
あれ以上ツナに近付いてたら、お前キスしてたからな」
「教え子になんていうものを見せようとしてるのさ、やめてよ」
「お前の態度次第だな」
「ムッ」
リボーンの歩みが不意に止まり、クンッと腕を引かれてそのままバランスを崩してそのままぽふりとリボーンに寄りかかってしまう。
「危ないんだけど、というかここ外」
「ならホテル行くか?」
頭の上に微かな重みとリボーンの声が聞こえ、頭に顎が乗せられていることを察し、リボーンの言葉にマーモンは"ムム"と唸り声を漏らした。
「行かないよ、行ったところでなにするのさ」
「いちゃつくだけだ、手は出さないから安心しろ」
「…」
「…なんだ?」
「いや、君も律儀だなと思ってね
恋人になった時の約束、まだ守っているから」
「こんぐらいしねぇと、お前にはちゃんと気持ちが伝わらないと思ってるからな
遊びだと思われても困る」
「未だに遊びだと思ってるけどね」
「おい」
「冗談さ」
「!」
スッと瞳を閉じ、マーモンは自分の身体から霧を醸し出しそのまま姿をくらましてリボーンから少し離れた所へと再度姿を現す。
「…さて、デートはここまでにしようか」
「これ、デートだったのかよ」
「僕の待てをちゃんと聞けた君へのご褒美デートさ」
「俺は犬じゃねぇぞ」
「わかってるよ、君みたいな犬がいたら世話が大変」
トンッと歩きだすと後ろからリボーンが不満そうな口ぶりで言いながら隣へスッと並び、マーモンの手を握りしめた。
マーモンはその手をチラリと見て間を置いてから握り返す。
「…綱吉の」
「あ?」
「綱吉の勉強週間が終わって、2週間後に休みがあるんだけど…手帳見ないと細かい日程分からないから今は伝えられない」
「…」
「だけど、もし君との都合がついたら…そしたら…デート…は…どう…かな…?」
「…」
「…君が嫌ならいいけど」
「…」
「…おい、なんとか言えよ」
自分の言った言葉に恥ずかしさを覚えているもリボーンからの反応が返ってこない。
マーモンは隣にいるリボーンへと顔を向けると、リボーンは表情を固まらせていることに気付いた。
「…リボーン?」
「…!…あぁ、わりぃ…デートだったな…」
声を掛けるとハッとした表情を浮かべて慌てて返事をするリボーン。
「…もしかして、嫌かい?」
「んなわけあるか」
自分の言動に少し自信を無くしながら問いかけると、リボーンは即答をしてマーモンの手を強く握りしめる。
「お前からの、初めてのデートの誘いなんだ…嫌がるわけねぇ」
「…あっそ」
真剣な表情で言う姿にマーモンの頬に熱が集まり、思わずそらしてしまう。
「なんだ、照れたのか?」
「うるさい、こっち見るな変態」
「お前から言い出したくせに、酷い言いようだな…ったく、仕方ねぇ」
歩みが止まり、リボーンが握っていたマーモンの手を少し上げるとそのまま手の甲にチュッと軽くキスを落とした。
「今日から1週間、ちゃんと"待て"してやるから…
俺にもちゃんと、褒美準備しとけよな」
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