嫉妬と葛藤
「…」
「…」
「…」
「…あ、あの…マーモン?」
「…なんだい?綱吉」
夕飯を食べ終え、入浴を済ませて寝る前に少しでも勉強をしようと提案したマーモンは、隣に座ってなにやらこちらをチラチラと見ているツナの視線に気付き、問題集に目を向けたまま返事をした。
「あと10分くらいだから、集中しようか」
「うん、それはわかってる…わかってるんだけどさ…」
淡々としているマーモンとは裏腹に、ツナはマーモンの背後を気まずそうな視線を向けて口を開く。
「なんでリボーン、マーモンの事膝の上に乗せてるの…?」
「別に、深い意味なんてねぇよ
ただ、ツナと2人きりにするのは危ねえと思ってな」
「危ない…?」
「リボーン、綱吉に無駄に絡むのやめなよ」
自分を抱きしめるリボーンの手に力が込められるのを感じ、意味が分かっていないツナを見ながらマーモンは小さく息を吐いた。
「君がいると、勉強進まないからさっさと愛人の所に行きなよ」
「行かねぇ」
「なら大人しくしてて
綱吉、こいつの事は放っておいていいから」
「う、うん…あの、ここ分からないんだけど」
「ちょっと待って、リボーン見えづらいから離して」
「…」
ツナに指差された箇所を見ようと体を動かそうとするも抱きしめられていて動きが制限され、リボーンの手に軽く触れながら告げると渋々といったようにゆっくりと手が離される。
手が離され自由が利くと、ソッとツナに近付いて分からない箇所を見た。
「そうだね…ここは…」
ソッ。
「!」
右手で指差しながら教えようとした瞬間、空いている左手になにかが触れる感触があり、マーモンはチラリと視線を左手へと向ける。
すると、リボーンがマーモンの手に自分の手を重ねて握りしめていた。
リボーンめ…綱吉から見えないからって…。
「マーモン?」
「ん?あぁ、ごめん」
言葉が止まるマーモンを不思議そうに見るツナに気付き、マーモンはツナに顔を向けながらリボーンに触れられた手を優しく握り返す。
自分の行動に応えるかのような反応にリボーンがピクリと微かに動いたのを感じながら、マーモンは時折にぎにぎと軽く握りしめた。
「君には少し難しいかもしれないけど、やり方さえ覚えれば…」
「…あ、なるほど!こうすればいいの?」
「そうそう、出来たじゃないか綱吉」
「マーモンの教え方が上手いからだよ、ありがと!」
「…ふふ」
説明をすると納得がいったのか、嬉しそうに頬を緩ませながら礼を言うツナの表情にマーモンもつられて笑みをこぼしてしまう。
「え、な、なにかおかしかった?」
「いや、違うんだよ
ヴァリアーにはいない人種だから珍しくて」
「じ、人種…?確かにヴァリアーには日本人とかいなさそうだけど…」
「そうじゃないよ
…さて、約束通り10分経ったね」
時計を見ると約束の時間になっており、マーモンはリボーンの手を離しゆっくりと立ち上がった。
「綱吉、僕は少し野暮用があるから先に眠ってて」
「野暮用って、こんな遅くに1人で大丈夫?」
「君ね…僕は紛いなりにもヴァリアーの幹部だよ」
「そうだけど…もしかして、今から任務?」
「いや、違うよ…あぁ…なるほど」
少し心配そうに見上げてくるツナを安心させるかのようにそっと頭へと手を伸ばしてわしゃりと優しく撫でる。
「わッ!ちょ、ちょっとなに?!」
「悪いことはしないよ、その心配をしてるんだろう?」
「え?!…まぁ…うん…」
「僕はベルと違って、無闇矢鱈に殺しはしないからね
お金がかかってるならまだしも、タダ働きはごめんだよ」
「タダ働きってまた…」
「とりあえず、明日も学校なんだから早くおこちゃまは寝なよ
おやすみ」
背中を向けながらそう声を掛けると、背後から"お、おやすみ…"とツナの声。
その声を聞いたマーモンは部屋から出てゆっくりと階段を降りていく。
「…さて」
背後から聞こえてくる自分と同じように階段を降りる音。
その音を聞いたマーモンは階段を降り終えるとゆっくりとその声の方へと顔を向けた。
「少し外に出ようか、リボーン」
「…おぅ」
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