嫉妬と葛藤


「ここに寝泊まりするって…」

「君はどうせ愛人の所に通っているんだろう?
それなら、君がいつも寝ているここのスペースが空くじゃないか」

マーモンの言葉に眉間に皺を寄せるリボーンを他所に、マーモンはスッと布団一式を指差す。

「え、マーモンここで寝るの?!」

「それしかないだろう?他に部屋もないし」

「いやいや、だめでしょ!」

直しをしていたツナはバッとマーモンへと顔を上げて慌てだし、その反応に不思議そうに首を傾げたマーモンだったが"あぁ…"となにか感づいたかのような反応を示した。

「大丈夫だよ、君くらいの年頃の子ならエロ本の1冊や2冊隠し持っていてもなにも言わな」

「ッ…くくッ…」

「えっ…ち、違うから!持ってないから!!そうじゃなくて!!」

ボンッと顔を真っ赤にして両手をぶんぶんと振り否定をしていたツナだったが、大きく息を吸い込んだ後に口を開いて言葉を続けた。











「だってマーモン女の子でしょ?!
それなのに、男の俺と一緒の部屋はだめじゃない…?!」










「…」

「マーモン、お前女だったのか?」

ツナの発言にきょとんとしているマーモンへとリボーンが声を掛けると、不思議そうにマーモンは首を傾げ、顎に手を当てた。

「…いや?僕は自分が女性だなんて一度も公言していないんだけど…」

「…え?」

マーモンの反応にツナも同様にきょとんとした表情を浮かべ、リボーンとマーモンを交互に見る。

「…違うの?マーモン、女の子じゃないの?髪長いし、小さいし…」

「髪長いって、僕よりも長い男はいるだろう?
あと、小さいっていうけど君よりは若干大きい…はず」

「自信なさげだな、お前」

「うるさい
僕はあいにく、体格に恵まれていないだけで正真正銘の成人男性さ」

「成人男性…?!」

「君よりうんと年上だから、敬いなよ」

「…」

マーモンの淡々とした言葉にツナはぽかんとした表情になり、リボーンはツナへと近づいてポンッと肩を叩いた。

「ツナ、お前の言いたいことはよく分かる」

「リボーン…」

「俺もこいつと初対面の時に男だと言われて身ぐるみ剝いで確認するほどだったからな」

「リボーン?!」

「そういうわけで、俺のお墨付きでこいつにはちゃんと俺達と同じ物がついて」

「おい、下品すぎる発言やめろよ」

「むぐ」

リボーンの言葉を遮るように幻術の触手をにゅるりと現してその口を塞ぐように覆い被せ、マーモンはゆっくりと立ち上がった。

「そういうわけだから、よろしくね綱吉」

「こ、こちらこそ…よろしく…」

「来週に行われる期末テスト、頑張って前回よりも点数を上げたら…」

スッとツナの目の前へと立ち、そのまま座り込むと口元に笑みを浮かべながらツナの唇に自分の指を押し当てる。
その仕草にツナは頬を赤らめ、呆然とマーモンを見つめていた。










「ご褒美、あげるから」













「ご、ご褒美って…」

「それは秘密だよ
あぁ、そうそう
明日から僕も一緒に学校ついていくからよろしく」

「えぇ?!ちょっと、それ急すぎじゃない?!」

「9代目からたんまりとお金貰っちゃったからね…徹底的に教えてあげる」

「どれだけのお金貰ったのマーモン?!」

「あーぁ…ツナ、こうなった以上腹括れ
こいつがどれだけ金もらったかは知らねぇが、仕事は報酬に見合った仕事するから」

「そんな…!」

「ふふッ…」

頭を抱えるツナの姿を見て、マーモンは楽しそうに微笑む。










その様子を、リボーンは瞳を細め横目で見ていた。











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