近くにいるのに少し遠くて


「…ったく…お前らぁ…勘違いさせるようなことしやがって…」

一通り話の流れを聞いたスクアーロはめんどくさそうに深いため息をつきながら、床に正座をしているベルとマーモンを見下ろした。

「勘違いって、スクアーロが勝手にしたことじゃん?
王子関係ないし」

「なんで僕まで…正座…」

「てめぇも同罪だぁ、あんな…」

「…あんな…なにさ?」

「…」

「…!うししッ、スクアーロもしかしてマーモンのあの声で勘違いしちゃったり?」

マーモンからの言葉に黙り込むスクアーロを見て、ベルはピンッとなにかを察したのか笑みを浮かべながらスクアーロを見上げる。

「勘違いってなにを?」

「そりゃ、ナニ…ッいってぇ!!」

ベルが言葉を口にしようとするとスクアーロは勢いよくベルの頭に拳骨を落とし、痛みでベルは頭を押さえながらキッとスクアーロを睨み上げた。

「王子に拳骨とかあり得ねぇんだけど!」

「うるせぇ、黙ってろぉ!いらん事言うんじゃねぇ!」

「スクアーロ、血圧上がるからそれ以上騒ぐのやめたほうが…」

「…ッ…はぁ…」

スーツの裾を引っ張りながら言うマーモンを見下ろした後、スクアーロはなにか言いたげな表情を浮かべるも大きく息を吐きだす。

「…とりあえずマーモン、俺がいない間の事と今日の会合の話聞かせろ」

「あぁ、わかったよ…ベル」

「あん?なんだよ」

先に部屋から出ていくスクアーロの背中を見た後に、マーモンはゆっくりと立ち上がりながらベルへと顔を向ける。
ベルは未だに痛む頭を手で押さえながら同じように立ち上がりマーモンを見つめた。

「…ありがとね、構ってくれて」

「…はぁーぁ…ほんっと、お前質悪いっーか、あほっつーか、めんどくさいっつーか」

「な、なにもそこまで言わなくてもよくない?
いつも君のめんどう見てるんだからさ」

「へーへー、ほらさっさと行けよ
お前が待ち焦がれたスクアーロんとこにさ」

「…ベル?」

頭をがしがしとかきながらマーモンへとシッシッと手で払うような仕草をするベルに、マーモンはひょこっと顔を覗き込む。
突然現れたマーモンの顔にベルは驚いたように目を軽く見開いていると、マーモンは口元に微かに笑みを浮かべた。












「もしかして…寂しい?」












「…お前さ」

マーモンの言葉に数秒間黙り込んだ後、ベルはマーモンの両頬へと手を伸ばし、ギリギリと力を込めて伸ばし始めた。

「むぎゃ!いひゃい!ちょ、べりゅ!はなひ」

「うっせ、こんの馬鹿マーモン」

「むきゅッ」

パッと手を離すと、マーモンは自分の頬を手で押さえ忌々しそうにベルを見る。

「うししッ、早く鮫んとこ行かないと今度はまたくすぐんぞ?」

「う…わ、わかったよ
あとでこの埋め合わせはするから」

「わかったから早く行けっての」

マーモンはベルのことを少し気にかけながらもスクアーロのあとに続いて部屋から出ていき、バタンと扉が閉められた。










ほんっと-。












「…馬鹿マーモン」










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