口が裂けても言うものか
「…君が、愛人1人1人を大切にしているのはわかっているし、そこを理解した上で君と恋人同士になった…なったんだけど…」
マーモンは自分の頬に触れているリボーンの手に自分の手を重ね、微かに握りしめて瞳を伏せる。
「…最近は君に会う度に…こうやって触れる度に…独占したい、って気持ちが溢れてきてしまって…そう思っては、いけないのに…」
「…だから、俺になるべく会わないように、長い時間一緒にいないようにした…そういうことか?」
「…まぁ…うん…そうだね…ごめん…」
「…俺のこと、嫌いなわけじゃねぇんだな」
「…嫌いだったら君のことでこんなに悩まない」
「マーモン」
「ムムッ!」
話を聞いていたリボーンは、名前を呼びながら顔を近付けて至近距離でマーモンをジッと見つめた。
マーモンの不安げに揺れる瞳に自分の顔が映し出される。
「…ちゃんと言えよ、俺のこと…好きなのか」
「ッ…む…う…」
真剣に見つめられてマーモンは軽く目を見開いた後、少し顔を背けて心の中で葛藤をしているのか唸り声を小さく漏らし、頬を赤らめながらリボーンへと視線を戻した。
「…リボーン…の事…す…き…だよ」
「はあ…」
だんだんと声のボリュームが落ちていき、最後は顔を真っ赤にしてしまうマーモン。
それを見て、リボーンは安堵の息を漏らしながらマーモンの首筋に顔を埋めた。
「…な、なんだよ」
「…よかった…」
「…?なにがさ」
「俺の事、嫌いになったわけじゃなかったんだな」
「…誰もそんな事、言ってなかったろう?」
「言ってねぇが、そういう態度とってたろ…ったく、心配損だ」
「心配損って…君ね…これでも僕は真剣に考えて」
「俺だって真剣に考えてる、お前とのことをな」
「…それに、僕がもし君のことを嫌ったからといって、君には他にも愛人がいるわけだし、そこまで考えなくても」
「おい、マーモン」
マーモンの言葉にピクリと反応を示し、リボーンは低い声色でマーモンの名前を呼ぶと、マーモンの肩がビクッと微かに跳ねて恐る恐る顔を向けてくる。
「…確かに俺には、愛人が4人いる
お前の言う通り、俺のことが嫌いになったとしても、それを埋めてくれる愛人がな
だけどな、マーモン」
「ッむむ…!」
マーモンの肩を掴んでいる手に力が入り、そのままぐっと更に力を入れて体重をかけてソファーの上へと仰向けに押し倒した。
マーモンは驚いたように瞳を丸くし、リボーンを見上げている。
「…俺は…」
「その愛人達4人以上に、お前のこと愛してるんだよ」
「…は…い、いや…嘘だ…」
真剣に伝えるも、マーモンはリボーンから顔を逸らしてリボーンの服をギュッと握りしめる。
「嘘だと思うか?
なら、今ここで愛人達に連絡をして別れる」
「ま、待って!」
スマホを取り出して画面を操作しようとすると、マーモンに慌てて腕を掴まれて操作をする手を止めた。
「…わかったから…落ち着いてよ…
君らしくもない…」
「…慌てるに決まってんだろ
愛してる奴に、俺の気持ち疑われてんだからな」
「う…ご…ごめん…」
睨みを効かせながら言うと、マーモンは言葉を詰まらせてシュンとした表情になり、リボーンは前髪を軽くかき分けて額へとキスを落とす。
「…そうは言っても、お前が疑うのも無理はねぇ…怖がらせたな」
「いや、君が謝ることはないと…思う」
「だが、さっきも言った通り、お前に対する気持ちは嘘偽りない
神に信じてもいい」
「…神…神って…ふふ…君、宗教とか興味あったっけ?」
普段口に出さない単語にマーモンは思わず吹き出し、リボーンはそれにつられてフッと口元に笑みを浮かべ、マーモンの顔へと自分の顔を近付けた。
「ばぁか、そう言ったほうが雰囲気あるだろ?」
「…その雰囲気今、台無しにした自覚ある?」
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