アルコール注意報
「くっそが…まじで任務終わった瞬間に酔い回りやがって…」
スクアーロはマーモンを抱き抱えながらホテルの部屋へと入っていき、眠っているマーモンをベッドの上へと置くと深いため息をついた。
奴等の取引現場確認して、俺の判断でその場にいた関係者を始末し終えたまではよかった。
マーモンもいつも通りに見えたしな。
なのに、任務終えてアジトにいるルッスーリアと電話している時にあいつの宣言通り酔いが回ったのか、その場で寝始めやがって…。
そのままアジトに帰る予定が、こいつ連れて帰るの面倒で近場のホテルで1泊することになってじゃねぇか。
お互い、明日は任務もなにも予定が入ってないのが幸いだったが…。
「…ッはぁ…」
堅苦しく締めていたネクタイを外すと、スーツの背広を脱いでシャツのボタンを緩めながらマーモンを見下ろした。
こいつも脱がさねぇと、皺がつくな。
自分と同様にスーツを着たままの状態で眠り続けているマーモンにそっと手を伸ばし、肩を揺する。
「マーモン起きろ」
「…ん…むむ…」
「スーツさっさと脱げ、皺つくぞ」
「ん…ん…スクアーロ…」
名前を呼ばれ数回、マーモンはゆっくりと瞳を開けてスクアーロが視界に入ると両手を差し出した。
それを見て、スクアーロはその両手に誘われるがまま近付いてマーモンを優しく抱きしめる。
「ったくよぉ、お前酒弱いんだから調子に乗って飲んでんじゃねぇ」
「…ごめん…スクアーロ…」
「なんだぁ」
マーモンはスクアーロの首筋に顔を埋めたまま名前を呼ぶ。
「…会場内でのやりとり、忘れてもらってもいい…?」
「あ?無理に決まってんだろボケが」
「え?!」
間髪入れずにスパッと言い切ると、マーモンはそう言われるとは思っていなかったのか、ガンッとショックを受けたような表情で顔を上げた。
「な、なんでよ
そこは忘れてほしいんだけど」
「任務中だってのに酒飲んで、挙げ句に酔い潰れたやつの言う事聞く必要ねぇだろ」
「聞いてよそこは!」
「つか、そういうふうに言うってことはちゃんと自分がなに言ったか覚えてんだな」
けっこう酔ってたように見えたから覚えてねぇかと思ったが。
マーモンの上体を起こし、スーツのボタンを外して脱がせながらスクアーロが言うと、マーモンは"う…"と言葉を詰まらせる。
「そりゃ…まぁ…あんなに恥ずかしいこと言ってたからね…
もう少し飲んでおけば忘れてたかも…いっそ、今から飲」
「ゔぉぉい、やめろぉ!
ただでさえお前酒弱いんだから!
明日二日酔いで帰れないってなったら置いて帰るからなぁ!」
「それだけ自分の行いが愚かだったから忘れたいんだよ
任務中なのに私情引っ張り出してこのザマなんて…恥ずかしいったらないよ…」
スーツを脱いでシャツのみとなったマーモンは深いため息をつきながら己の行動を後悔しており、スクアーロはジッとその様子を見つめた後に、マーモンの隣へと腰掛けた。
"女の子と話してるの、嫌なんだよ"
"僕のなんらから、変に他の奴にかっこつけたり、しないでよ…"
「…確かに、すげぇ無様だったな」
「ぶざ…ッ…う…な、何も言えない…」
「マーモン」
「…なんだよ…もうふて寝させ」
マーモンの肩を掴んで自分の方へと向かせると、スクアーロはそのままマーモンの唇に自分の唇を重ねる。
驚いたように瞳を見開くマーモンを他所に、スクアーロはゆっくりと唇を離して不敵な笑みを浮かべた。
「…俺は別に、お前以外の前でかっこつけたりしてねぇんだがなぁ
しかも、俺が女と話しただけでなびくと思ってんのか?」
瞳を細めて舐めるようにマーモンの顔を見つめた後に、そっと頬へと手を伸ばして指先でなぞるように触れる。
「え、いやそういうつもりは」
スクアーロの言葉にマーモンはハッとした表情を向け、慌て始めるも、スクアーロはそれを気にせずに瞳を細めて指先を頬から顎へと、首筋へと下へと下ろしていく。
「お前しか見てねぇのに…そういうふうに見えてたとはなぁ…」
「だ、だから違うって!
そういうふうに思わせたのならごめ…ッひ…!」
無意識にも言葉の語尾が強まってしまう。
マーモンはビクッと肩を跳ねさせ、バッと顔を上げてスクアーロに話しかけるも、スクアーロの表情を見て、マーモンは小さく悲鳴を上げた。
「マーモンよぉ、ちょうどここには俺しかいねぇ…」
「え、あ、あの」
「十分わからせねぇといけねぇようだな…俺の、思いをよ」
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