アルコール注意報


マーモンの奴、いったい何処で油売ってんだぁ。

スクアーロは目の前にいる女性数人と話をしながら未だに現れないマーモンにしびれを切らしていた。

あいつ、飲み物貰ってくるとか言っといてもう結構経つが戻って来る気配がねぇ。
おかげで知らねぇ奴らに捕まって理由のわからない話を延々と…くそが、普段こんなに表情作らねぇから顔が攣りそうだ。

いつもはしない表情をし続け、顔の筋肉が疲れてきたのか無意識に引きつってしまう。

そろそろ面倒だから離れてマーモンと合流を…。

「…!」

ふと視線をバルコニーへと向けると、マーモンの背中が視界に入りスクアーロはその姿を目で追った。

あいつ、あんなところにいやがって…。

スクアーロは"私はここで"と女性達に一声かけるとその場から離れていき、マーモンの姿を追ってバルコニーへと向かう。
バルコニーにも人が出てきており、スクアーロは人混みの中探すと手すりに寄りかかりワイングラスを口につけているマーモンを見つけた。

「…お前、なにしてんだぁ」

「…ム?」

隣に並びながら声を掛けると、いつもよりも力のない声でマーモンは返事をし、スクアーロへと顔を向ける。
その顔はほんのりと赤く染まっており、雰囲気も任務中だと言うのに緊張感もなく、どこかぽわぽわとしていた。

「あぁ、スクアーロ」

「あぁ、じゃねぇ
1人で呑気に酒飲みやがって」

「女の子達はもういいのかい?」

「あ"?」

マーモンの言葉に首を傾げると、マーモンはススーッとスクアーロから視線をそらし、ワイングラスに口をつけだす。
よく見ると、もう片方には空になったワイングラスを持っていた。

「俺のワインまで飲みやがったな…」

「女の子と話してたからいらないかなって」

「あっちが話しかけてきたからなぁ
お前、その様子だとそれが分かってた上で俺の事放置しやがったな?」

「んふふ、どうだろうね」

いつもとは違い、気の抜けたような笑顔のマーモン。
その表情から、スクアーロはマーモンが酒に酔っていることを察して距離を詰めるとマーモンの手からワイングラスを取り上げた。

「あ」

「飲み過ぎだぁ…ったく、お前任務中なこと忘れてねぇだろな?」

「忘れてないよ…君こそ、女の子にうつつを抜かして任務を忘れてないだろうね?」

「お前、さっきからなに言ってんだぁ?」

先ほどから少し話が噛み合ってないような気がしてスクアーロは訝しげにマーモンの顔を覗き込んだ。
すると、なぜかマーモンはムスッとした表情を浮かべており、スクアーロの視線に気付いたのか顔をそらす。

「…なに?」

「なに怒ってんだ、お前」

「怒ってない」

「怒ってんだろがぁ
なんか不満なことあんならさっさと吐けぇ」

「…怒ってないもん…ただ」

「ただ?」

「…」

「マ…あ"!」

先を促すもマーモンは口を閉ざしてしまい、名前を呼ぼうとするとマーモンから回収したワイングラスを取られてしまい、マーモンは残りを一気に飲み干した。

「お前、んな飲み方してんじゃ」

「…ッぷは…君が…」

「ゔぉ?!」

飲み干し終えたマーモンはグラスから口を離すと、スクアーロへの胸倉を掴み、ジトリとした目つきで見上げだす。











「女の子と話してるの、嫌なんだよ」










「…なに言っ」

「いつもはさ、鼓膜が破れそうなほど大きな声で話すくせにかっこつけたような笑顔で、優しそうな声色で話しちゃって」

「そりゃ…普段の態度だとこの場に合わねぇだろ
下手すりゃ一発で追い出され」 

「それ見たら…なんか……なん……」

だんだんと口が回らなくなってきたマーモンはそのまま倒れ込むようにスクアーロへと寄りかかり、スクアーロはそれを"おっと"と受け止めて顔を覗き込む。
先ほどよりも顔に赤みが増しており、視点も定まっていない。

「おっ前…任務中に酔って」

「…スクアーロはぁ…」 











「僕のなんらから、変に他の奴にかっこつけたり、しないでよ…」









「…お前」

「…まって」

「あ"?なにが」

スクアーロが口を開こうとすると、マーモンはぴたりと動きを止めた後に数秒瞳を閉じると、スクアーロの耳元へと顔を近付けた。

「ターゲット、動き出した」

「あ"?なんで分かんだよ」

「会場内に幻術何体か設置しといたからね…動かれる前に急ごう」

「お前、そんな酔ってる状態で行けるのか?」

ターゲットが動き出したことでスイッチが入ったのか、マーモンはスクアーロの手を引いて歩き出すも、少しおぼつかない様子にスクアーロは思わず問いかける。

「大丈夫だよ、スクアーロ」










「任務が終わったら、気抜けて酔い回るだろうから
介抱、先に頼んでおくね」

「…先に頼めばいいってもんじゃねぇぞ」










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