アルコール注意報


「…僕があまり、人前に出ること苦手なのは君が一番わかっているだろう?」

大きな会場全体を大きく照らすシャンデリア。
その光の眩しさに、マーモンは眩しそうに瞳を細め壁に寄りかかりながら隣に立つスクアーロへと声をかけた。
普段のヴァリアーの隊服とは違い、きっちりとネクタイを締めたスーツを着こなすスクアーロは、片手にしているワイングラスを軽く弧を描くように動かしながらマーモンへと視線を向ける。

「仕方ねぇだろ、今日はパーティーに潜入する任務なんだからよ」

「そのパーティーに潜入、っていう時点で僕には向かないと思うんだけど」

目の前に広がるのは、広い会場の中でびしっとスーツを着ている男性や綺羅びやかなドレスを着ている女性達が立食をして談笑をしている光景。

「他に適任いたと思うんだけど、僕以外で」

「レヴィは女見るとどもるのが目に見えてるし、ベルはガキ過ぎんだよ
ルッスーリアが適任だと思うが、今回のパーティーでは目立つ」

「…ダメ元で聞くけど、ボスは?」

「ボスは元々頭数には入れてねぇ」

「一応組織のボスなんだけど?」

「とりあえずボスの世話はルッスーリアに頼んであるから大丈夫だろぉ」

「君、ボスをなんだと思ってるんだい?」

「図体だけ成長して中身はガキなクソボス」

「ひどい言いようだね、ボスに聞かせてあげたいよ」

「冗談だとしてもやめろ、なにが飛んでくるかわからねぇ」

「…ふふッ」

無言で物を投げつけてくるザンザスの様子が思い浮かんだのか、スクアーロがため息混じりに言う姿にマーモンは思わず笑いが漏れ出てしまう。


しかし、スクアーロと任務なんて久々だな…普段は書類整理で部屋に籠もりっきりだし。
スクアーロは声は大きいけど、わがまま王子のベルと違ってやりやすいからいいんだよね。
まぁ、ベルもベルで流石は天才というべきか臨機応変に対応してくれるんだけど。

…それにしても。


マーモンはチラリとワイングラスに口をつけてワインを嗜んでいるスクアーロへと目をやる。


…今日はパーティーだからもちろんなんだけど…普段隊服とか私服しか見ないからスーツは新鮮だな。
沢田綱吉の学校に潜入していた時の教師姿もよかったけど、こっちもこっちで…。


「ゔぉい、マーモン」

「ム」

「俺ばっか見てねぇで、ちゃんとターゲットにも気配れ」


横目で見た後にそう言ってスクアーロは視線を会場内へとすぐに移す。


…ばれてた、見てたの。


「…君のスーツ姿珍しいからつい」

「んだぁ?そんなにおかしいか?」

「いいや、おかしくないさ」

マーモンはスッとスクアーロの隣から離れ、口元に笑みを浮かべながら軽く振り返る。










「僕の恋人は、すごくかっこいいな、って」










「…」

「ワインのおかわりいるかい?
僕も喉渇いたからなにか貰ってくるから」

「…あ"ぁ…なら適当に頼む」

「了解、君がお酒に強いのはわかってるけど程々にね」

そう言ってヒラリと軽く手を振りながら離れていくマーモンの背中をスクアーロはジッと見つめた。










「…あいつも言うようになったなぁ…」










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