小さい僕と大きな僕と


ベルは幻術で作られた赤ん坊の姿のマーモンと、本物の大人の姿のマーモンを交互に見ながら立ち上がり、赤ん坊のマーモンの頭を掴んで持ち上げた。

「持ち方雑すぎじゃない?」

「いつもこんなんだったろ、持ち方
うっわ、すんげー久々のフィット感」

幻術とはいえど、持ち方に不満があるのかマーモンの声を聞きながらベルは赤ん坊のマーモンを腕の中に収めてギュッと抱きしめた。
大人に戻る前はこうしてマーモンのことを抱っこしていたことを思い出し、懐かしそうに声を漏らしてしまう。

ベルはマーモンの隣へと腰掛け、赤ん坊のマーモンを太ももの上へと乗せると両頬に手を伸ばして触れてみる。

「…うししッ」

むにむにとしたその感触の良さに思わず笑みをこぼした。

「さっすがマーモンの幻術
質感とかまんまじゃん」

「質感言うなよ…それで、その僕とこっちの僕、どっちがお好み?」

「んー…」

「…ねぇ、ベル」

「んー?」

「…聞いてるの?」

「んー、あー、聞いてる聞いてる」

頬の感触がくせになり、生返事をしながらマーモンに顔を向けるとぷくーと頬が膨らんでいるのが目に入る。

あ、やべ怒ってる。

「…ふぅん、君のお好みはよーく分かったよ
僕の声が届かないほどに夢中になってるんだもんね」

フードの中のマーモンの瞳が細くなり鋭くなったように感じる。
マーモンはそう言うとソファーから立ち上がりスタスタと扉へと向かっていく。

「どこ行くわけ?」

「…飲み物、取ってくるだけ」

「んー、なら王子アイスティー」

「君ね…はぁ、わかったよ
あとで手間賃ぐらいはとるからね」

にっとはにかみながらマーモンへと飲み物の催促をすると、マーモンは呆れたようにため息をついて部屋から出ていった。


…うししッ。










「こんなんで拗ねちゃって、まーだまだ中身はベイビーだな」










どっちも好きに決まってんじゃん、ばぁか。











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