いつもと違う姿の壁


「…おー、やっと身長伸びてきたじゃんマーモン」

4日後。マーモンの部屋にて。
ほぼベルと同じ年齢くらいになったであろうマーモンを見て、ベルは隣に立ち自分との身長差を確認し始める。

「つっても、まだまだ小さいけど」

「むむむむ…これで君と同じ16歳くらいか…」

「お前、ほんとーにちっせぇな
成長期とかあった?」

マーモンの背後へと回り、後ろから抱き締め始めるベルを少し煩わしく思いながらも、マーモンは"うーん"と自分の過去を思い出す。

「僕、昔から他の奴等よりも成長遅かったから…ないに等しいかも」

「ししッ、だろうな
つーか、もしかして身長これが限界?」

「失礼だな、あ、あと数cmは伸びた…はず」

「すげぇ自信なさげじゃん」

「う、うるさいな
昔のこと過ぎてもう覚えてないだけだよ」

背後から"ふぅん"とベルの声が漏れ自分の身体から離れる感覚がした。

「そーいや、俺任務続きで3日間位会えてなかったけどさ
マーモンが俺の部屋でやけ食いして寝た時あったじゃん?
あの後、スクアーロとどうだったんだよ」

「あの後…」

ベルに言われ、ふと3日前の出来事が脳裏によぎる。

「あぁ、あの後…あの後ね…」











「…まぁ…うん…ナニモナカッタヨ」











「いやそれ絶対嘘じゃん、なんかあった時の反応じゃん」

片言で返事をするマーモンにベルは間髪入れずにツッコミを入れてズイッと距離を詰め寄った。

「お前、あいつに手出された?」

「出されてないよ、うん…僕まだせーつうしてなかったし」

「ごめん、なんて?」

「いやだから、せ」

「聞こえてないとかそういう意味じゃねーよ」

「いたッ」

言葉を繰り返そうとするとベルに頭を軽くペシッと叩かれ、痛みからマーモンは小さく声を漏らして頭をおさえた。

「痛いじゃないか」

「お前、スクアーロにそれ言った?」

「…?え、うん…言ったけど」

「…スクアーロかわいそッ」

「え、なんで?」

「そりゃ、そーじゃん?
ただでさえお前に手出せねぇのに、せーつうだのなんだの言われたらさ…いらぬ妄想しちゃうだろ」

「いらぬ妄想って…レヴィじゃあるまいし…」

「…つーか、もう1個聞いていい?」

「もうなんだよ、なにも言うことはないんだけど」

「お前さ、さっき"まだせーつうしてなかったし"って言ってたけど
もうしてるってこと?」

「…それは…」

「…」

「…」

「…ジャッポーネでは、祝い事の時に赤い米食うみたいだけど
オカマに頼む?」

「いい加減にしないと怒るよ、ベル」

「お前が言い出したことじゃん
つーか、よかったなーマーモン?
大人になったってことで、スクアーロに抱いてもらえるじゃん」

「ッ…デリカシー!ないな!君は!」

はにかみながらからかいだすベルにマーモンはイラッとし、にゅるっと服の裾から小さな触手を顕にし始める。

「あり、幻術超能力復活した?」

「この年ぐらいにはもうほぼ、今と同じくらいのことはできていたからね…
言いたい放題の君には、少しお急を添えてやらないと」

「えー、でもさ?
スクアーロに抱かれたいって気持ちはあんだろ?」

「それは…」

言葉を詰まらせるマーモンを見てベルはチラッと扉の方を見た後にすぐに視線をマーモンへと戻した。

「ほらほら、今スクアーロいねぇし?
さっさとげろっちまえよ」

「うぐ…い、いや僕は…」

「いくらお前でも、しばらく抱いてもらってないもんなー?
そろそろスクアーロのこと、恋しいんじゃねぇの?」

"さぁさぁ"というようにマーモンの次の言葉を催促するベルを見て、マーモンは頬を赤らめると、その頬を隠すように両手で触れる。










ガチャッ。


「スクアーロに…抱いてほしい…けれども…」











「…へぇー…だってさ、スクアーロ」

ぽつりと呟いたその言葉。
ベルははにかみながら扉の方へと顔を向けながら言葉を発する。

「むむッ、その手にはのらないよベル
スクアーロは今僕の代わりに任務行ってるんだし、ここに来るはず…」

ベルにつられて扉へと顔を向けると、そこには真顔で立っているスクアーロの姿。
その姿を見たマーモンは瞳を見開いた後に、額に汗を浮かべるとその場から去ろうとする。
が、瞬時にスクアーロに腕を掴まれ"ひッ"と小さく悲鳴を上げた。

「お、お帰りスクアーロ…早かったじゃないか」

「大した任務じゃなかったからなぁ…」

「そうなんだ…えっと…僕、これからベルと用事が」

「そんなもんないから、マーモンのこと連れて行っていいぜ?」

「…」

「ベル?!僕を売る気?!!」

「売るも何も、王子のじゃねーし?
あーでも、やんならマーモンの部屋じゃなくてスクアーロの部屋でしてくんね?
そーいう配慮はしてくれよ?」

「君に配慮も何もな」

ヒョイッ。

自分を助けようとせずにむしろ売るベルに文句を言っていると、いきなり身体が宙に浮き、スクアーロに脇に抱えられていることに気付いた。

「ちょ、っとスクアー」

「こいつ借りてくぞ、ベル」

「うししッ、どーぞどーぞ
お好きにしてもらって」

「ま、待って…スクアーロ…」










「ッ…ベルの馬鹿ぁ…!!」










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