いつもと違う姿の壁


「…あいつ、遅ぇな」

スクアーロは片手に持っていた書類から視線を外し、壁にかけられた時計を見てぽつりと呟いた。

マーモンが俺の部屋から出ていってもう2時間位経つ。
おやつ食べて落ち着いたら戻って来る、とか言ってたくせにどれだけ菓子食ってんだあいつは。

…てか、落ち着いたらってなんだよ。

自分の部屋を出ていく前のマーモンの様子を思い出してスクアーロは深くため息をつきながら書類を雑にテーブルの上へと置いた。

やたら俺に触れてほしいやら淋しいやら言ってたが、いつもだってそんなにスキンシップあったわけじゃねぇのによ。
なんか不安にさせるような事、俺言ったかぁ?
いやまぁ、確かにあいつが小さくなってからはそんなに触れたりしなくなったが…。

「…やたら細いから、怖いってのもあるが…」










…それよりも…。










〜♪


「…なんだぁ?」

不意に自分のスマホから着信音が鳴り、スクアーロはスマホを手にして画面を確認する。
すると、そこにはマーモンの名前。

電話…マーモンから…なにかあったのかぁ…?

「…なんだぁ、マーモン」

通話ボタンを押して耳にスマホを当てながら声を掛けた。

『出んのおせぇよ、スクアーロ』

「ベル?」

マーモンかと思いきや、スマホ越しに聞こえてきたのはベルの声。
スクアーロは訝しげな表情を浮かべながら再び口を開いた。

「おい、なんでお前がマーモンのスマホから俺に電話してんだ
マーモンはそこにいんのかぁ?」

『いるから電話してるに決まってんじゃん
俺の部屋にいるからさ、このお子ちゃま回収しに来てよ』

「あ"ぁ?お前が連れてくりゃいーだろ」

『それが出来たらしてるっての
とにかく、早くしろよ』

「あ"!…ッ…て…切れやがった」

最後は矢継ぎ早に言葉を残し、ベルは通話終了ボタンを押したのか、"ツーッ"と通話が終わった音がスマホから聞こえてきて、スクアーロは耳から離してスマホをジッと見つめた。

「ったく、なんだってんだあいつは」


"このお子ちゃま回収しに来てよ"


ベルの言動に呆れながらも、ふとマーモンの事について触れていたことを思い出す。

回収って、あいつベルのところで菓子食ってたのか…なら納得だわ。
しかし、回収って…。










「…しかたねぇ…行くかぁ」










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