小さな姿が目にするものは?
「…君ってさ、なにかしらあったら即僕を回収するよね」
スクアーロの部屋にそのまま連れてこられたマーモンは、部屋の扉が閉められるのを確認した後、脇に抱えられたままスクアーロを見上げた。
スクアーロはなにも答えずにソファーの目の前へと歩くと、パッとマーモンをソファーの上へと優しく座らせ、自分もその隣へとドカッと勢いよく腰掛ける。
…そんなに見るに堪えないか。
いや、僕も今の自分の姿をよーく見たいとは思ってないけどさ。
反応くらい見せてくれてもいいんじゃ…。
「…スクアーロ、僕、違う服に着替えてくるから少し待っててよ」
ガシッ。
「む?…っお…とと…」
マーモンは小さくため息をつき、一旦部屋へと戻ろうと立ち上がるも腕を掴まれてしまい、そのままソファーへと再度座らされてしまう。
よろけながらも再度座るマーモンは、スクアーロの顔をひょこっと覗き込んだ。
「…え、なんでそんなにキレた顔してるの?」
眉間に皺を寄せて明らかにキレている表情に少し引きながらも、マーモンは首を傾げながら問いかける。
「…ボスにキレてんのと、お前にもキレてるから」
「ボスはともかく僕にまで?
やっぱりこの服、似合ってない?見るに堪えない?
僕としてもこの服は流石に」
「ちげぇ」
「?」
スッと頬に手を伸ばされて目元を優しく撫でられ、マーモンはきょとんとしながらスクアーロを見上げると、スクアーロは少し視線をそらした。
「…こういうこと言うと、変な誤解されるかもしれねぇが…」
「似合い過ぎて…他の奴に平気でそういう姿見せてるお前にキレてんだよ…くそが」
「…へぇ…ふぅん…君はこういうのがお好みなんだ?」
スクアーロの言葉に驚いたマーモンだったが、すぐににやにやと口元をにやつかせながらズイッとスクアーロへと顔を近づける。
「だぁぁから!変な誤解すんなぁ!
その服が好きなんじゃなくて、お前が好きなんだわボケぇ!」
「元の姿に戻ったら、似たような服でデートしようか」
「話聞けぇ!チッ…たく…それにお前、すぐ帰るとか言ってたから部屋で待ってたのに、ファッションショーとはいいご身分だなぁ?」
「ム、それは…服買いに行ったはいいけど、試着する暇なくベルが買うからサイズ確認してから君に見せようかと」
「そんなことよりも早くお前に会いたかったんだが?」
「…いや…あぁ…うん…いきなりそういう事言われと僕も恥ずかしくなってくると言うか…」
キレながらも愛を伝えてくるスクアーロにおかしさと愛おしさが込み上げてきて、頬を赤く染めながらススーッと顔をそらすマーモン。
「そんな格好してるくせになにが恥ずかしいだぁ」
「うるさい、君がそんなにストレートに言うことが珍しいからだよ
…というか、僕のこと抱き締めたりしないけどどうしたの?」
「あ"?」
「いや、いつもの流れからすると君、僕のことぎゅーするのになんでかなって」
「なんだいつもの流れって
なんつーか、今のお前抱き締めたらすげぇ犯罪臭が…」
「中身はだいぶ君よりもおっさんなんだけど」
「その容姿でおっさん言うなぁ!ただでさえ頭バグってんだからよぉ!」
「しかも、それ言ったら買い物行く前は僕のことぎゅーしてたじゃないか」
「それはベルがお前のこと玩具にするのが目に見えていたし、あいつの方がいろいろやらかしそうだろぉ」
「君はベルのことをなんだと思ってるの?
言わんとしてることはわかるけどさ
うーん…ならスクアーロ」
「あ"?」
マーモンは少し考えた後にスクアーロの名前を呼んで両手を差し出した。
「ぎゅーして
僕からお願いすれば、許されるでしょ?」
「ぐ…」
「ほら、早く」
「…ッ…はぁ…」
おねだりをするようにお願いをするとスクアーロは少し困ったような表情を浮かべたあとに諦めたように息を吐き、マーモンの両脇を掴んで自分の太腿の上に向かい合うように座らせる。
「…なんか、いつもより小さいから力加減が難しそうだが…壊しちまいそう…」
「君がさつだからね…なら、僕がするから君は手を添えるだけでいいよ」
スクアーロの胸板に片頬を押し付けていつもより短い腕を背中へと伸ばしてギュッと服を掴んで見上げる。
「はい、ぎゅーして」
「う"ッ」
「え、なにその声」
自分の背中に手を回すスクアーロから変な声が漏れ出てマーモンはおかしそうにくすくすと笑みを浮かべた。
「ゔぉぉい、お前わざとかぁ?」
「なにがさ?」
「…いや…いい…なんもねぇ…」
ジトリとした目つきで聞かれるも何が言いたいのかわからない。
マーモンが不思議そうに返事をすると、スクアーロは諦めたように呟いて少し抱きしめる力を強める。
「ちょっと、苦しいよスクアーロ」
「わりぃ…なぁ、マーモンよぉ…」
「ん?なに?」
「…戻ったら、本当にその格好でデートしてくれんのかぁ?」
「…したいんじゃないか、えっち」
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