小さな姿が目にするものは?


「お前がこの状態のマーモンを玩具にすんのは目に見えてるからなぁ
仕方なく守ってるだけだから気にすんな」

ベルからの問いかけにスクアーロはチラリとマーモンを見た後、マーモンを抱きしめる力を強める。

「ししッ、こーんなチャンスないんだから玩具にするに決まってるじゃん
スクアーロは書類整理で忙しそうだし?マーモンは王子が面倒見てやるから安心して仕事に励めよ」

スクアーロの言葉にベルはにんまりと笑いながらマーモンへと手を伸ばしてこっちに来いというような仕草をする。
マーモンはスクアーロとベル、両方を見た後に"むむ…"と声を漏らした。

「いや、それよりも僕は服をどうにかしたいんだけど…
あいにく、赤ん坊の時の服は一応残ってるけどこのサイズじゃ着れないし
今着てるの、隊服の下に着てたシャツだけだから」

「ベル、お前が10歳の時の服はあるかぁ?」

「あるわけねーじゃん、王子着れなくなったやつすぐ捨てるし
つか、こいつその時の俺より小さいからどっちにしろサイズ合わなくて無理じゃね?」

「確かに小さいし軽い
抱っこしてても肉がねぇから骨が出てていてぇし」

「人の身体を悪く言うのはどうかと思うんだけど」

「なら王子と今から買い出し行こうぜ?
ほら、お忙しい作戦隊長様のお手を煩わせるわけにもいかねーし?」

「むむ…まぁ、そうだね…
こればかりはベルの方が適任かな」

少し考えたマーモンはスクアーロをチラリと見た後に、太腿の上から降りようと"離して"と声を掛ける。

「…」

「…?ちょっと、スクアーロ」

「チイッ!」

「えぇ、舌打ち…」

「ししししッ!男の嫉妬は醜いぜ?」 

離そうとしないスクアーロに再度声を掛けると、スクアーロは盛大な舌打ちをしながら納得のいっていないような表情を浮かべ、ようやく手を離した。
その様子にベルはげらげらと笑った後、スクアーロから降りたマーモンが隣に来ると手を繋ぎだす。

「ム、手繋がなくても大丈夫なんだけど」

「お前、今能力もなーんももたないただのクソガキだからな
迷子にならないように王子が繋いでてやんよ」

「えぇ…なんでそんなに上からなの君」

「王子のほうが今上だかんなー、ししッ」

「まぁ、そういうわけだからスクアーロ
ベルと一緒に買い出し行ってくるね」

「…お"ぅ」

はたから見たら、仲よさげな兄弟にしか見えない2人。
しかし、スクアーロからするとそれどころではないらしく、マーモンの言葉にぶっきらぼうに返事をした。

「…」

「ほら、マーモン行くぞ」

「…ごめん、少しだけ待ってくれるかい?」

そんな様子のスクアーロをマーモンはジッと見た後に、ベルの手から離れるとトトトッとスクアーロの元へと近付いていく。

「スクアーロ」

「…なんだぁ、早く買い出しに」

声をかけられスクアーロが顔をあげようとすると、マーモンがひょこっと下から顔を覗き込んでおり軽く瞳を見開いた。
マーモンはスクアーロの耳元にスッと顔を近づけ、会話が聞こえないように手で覆う。










「すぐ帰るから、待っててね?」










「…」

「…行こ、ベル」

微かに柔らかな笑みを浮かべてそう告げたマーモンはタタッとベルの元へと走って戻っていった。

「なに離してたわけ?」

「内緒」

「…」

バタン、と閉められる直前に扉の隙間からマーモンの笑みがこちらを見ていた。
スクアーロは"はぁぁ…"と深い溜息をついた後に、額に手を当てる。










「…俺にそういう趣味はねぇんだがなぁ…」










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