小さな姿が目にするものは?


「…つまり、こういうことかぁ?」

スクアーロは自分の太腿の上に座って黙り込んでいるマーモンの髪の毛を指で鋤きながらため息をついた。

「マーモンが任務中にターゲットだったマフィアのアジト内に潜入し、任務終了間近に怪しい液体を吹きかけられて、気付いたらこの姿になっていた…と」

「王子が聞いた話ではそんな感じ
マーモンの部隊が上から、王子の部隊が下から潜入してたからなー
任務終了して合流した時にはこーんなちっこい姿になってたってわけ」

「マーモンの部隊全員がこうなってんのかぁ?」

「…いや、違うよ」

ずっと黙っていたマーモンはゆっくりと口を開いた。

「ほとんど片付け終わった時に死にかけの奴が変なボタンを押して、その瞬間にスプリンクラーから出てきてもろにかかっちゃって
爆弾とかだったら危ないから、部下達を守りに入ったら僕だけかかってしまって」

「お前なぁ…それでお前がこんな姿になっちまったら元も子もないだろぉ
治る当てはあんのか?」

「さぁね、アジトに戻る時にヴェルデの所に行って、僕の服を渡して液体の成分を調べてもらってるんだ
その解析が終わって、解毒剤が必要であれば作るようにお願いしてあるからそれ持ちかな」

「それか、時間経過で元に戻るか…」

「そんな所だろうね」

つか、だから服がいつもと違うな。
顔丸見えで嫌がるかと思ってたが、この容姿じゃパッと見他の部下はマーモンって気付かねぇから尚更気にしてねぇのか…。

…だからってなぁ…。

「…なんだ、ベル
さっきから見やがってよ」

淡々と話をしているスクアーロとマーモンの様子をジッも見ているベルの視線に気付いたスクアーロはベルを見る。

「いーんや、意外にスクアーロ冷静じゃね?って思っただけ
あんま驚かねーのな」

「驚いてるに決まってんだろぉ
驚いてるけど、ただ身長小さくなってガキになってるだけだからなぁ…」

「むきゅ」

マーモンの両頬へと手を伸ばし、むにむにと揉んでみると普段よりも少し柔らかな感触が手に伝わった。

「むぇ、ん、む、ちょ、すくあーろ、やめ」

「赤ん坊の時よりはちょいと硬いがこれはこれで」

「お前ら、王子の真ん前でいちゃつくのやめてくんない?
つーか、マーモンが小さくなったことも問題だけどもっと深刻な問題あんだけど」

「深刻な問題?」

「む、あ、あぁ、そうだ…」

ベルの言葉にマーモンが思い出したように言うと"離して"とスクアーロの手をぺちぺちと軽く叩き、頬から手を離れさせた。

「なんか、うまく超能力と幻術使えなくて…」

「…う"ぉぉい、それって…」

「うししッ、マーモンなーんもできない、ただのクソガキってこと」

「ムムッ、クソガキとは失礼な…
…あの薬の影響があるからかな…それか、この身体が幼すぎて僕の能力についていけていないのか…
このくらいの年齢の時は、ここまでの力を使えてなかったから」

両手を握ったり開いたり繰り返しながら少し沈んだ表情のマーモンの頭をスクアーロはあやすように優しく撫でる。

「…任務の調整、しねぇとなぁ」

「むぐぐぐぐ…お金…お金がぁ…」  

「ししッ、マーモンぶれなさすぎ」

「金欲しいならその分俺のサポートに入れ
書類整理くらいなら出来んだろ
俺が任務行くから代わりに何かあった時は指示頼む」

「あぁ、わかったよ」

「あのさ、王子ずっと思ってたこと聞いてい?」

「…?なんだぁ?」










「なんでお前、マーモンの事抱っこしてるわけ?
それ俺の役割なんだけど」










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