飲酒注意報


「それでラルがなー」

「…」

なぜ私がこんな酔っ払いの相手をしないといけないのだ。

広い部屋でコロネロと二人きりになってしまったヴェルデは疲れたような表情をしていた。

最初にマーモンが部屋から出ていき、酔い潰れたスカルを寝かしつける為にリボーンもいなくなった。
その時にはまだ風がいたからいいものの、なにやら廊下の方から大きな声が聞こえて風も出て行ってしまい、気づけば…。

「おいヴェルデ、聞いてるのかコラー」

この酔っぱらいと二人になってしまっていた。

ヴェルデは横目で隣に座っているコロネロを見た。
コロネロは酔っているのか赤い顔をし、ずっと恋人である"ラル"の名前を繰り返し言い続けている。

「そろそろ飲むのはやめろ酔っぱらい
相手をするこちらの身にもなれ」

「あぁー?なんだよ、まぁだ俺とラルの話を聞きたいのかー?」

「そんなこと、一切言っていない」

ガシッと肩を組まれ逃げ道がなくなってしまう。

早く誰でもいいから戻って来い…。

「…なんだ、本当に酔ってるんだな」

切実に心の中で願っていると部屋の扉が開かれ、リボーンが姿を現した。
リボーンはコロネロが酔っていることを知っていたかのような発言をしながら近付いてくる。

「おい、この酔っぱらいをどうにかしろ
さっきから同じ事しか言わん」

「あ?めんどくせぇな…」

めんどくさそうにため息をついた後、リボーンはコロネロをベリッとヴェルデから引き剥がした。

「おい、コロネロ
そのへんにしとけ」

「あぁ?お前も聞きたいのか、コ」

今度の標的をリボーンに変更しようとしたコロネロだったが、なにやらリボーンが耳元で耳打ちをし始める。
それを最初は黙って聞いていたコロネロだったが、だんだんと顔色を青くさせていき大人しくなっていった。

「ほいよ、これでいいだろ」

「おい、なにを言ったんだ
大人しくなったのはいいがここまで静になると逆に恐ろしい」

「別に、お前が気にする事じゃねぇよ」

パッとコロネロを乱暴に手放すと、コロネロは椅子に座り込んでなにも言わなくなっている。
リボーンはワインの入ったボトルを手に取るとヴェルデへと差し出し、ヴェルデはグラスをリボーンに差し出しそこにワインが注がれていく。

「なぜ今回、このようなことを開いた」

「あん?」

"注いでやる"と言い足しリボーンからボトルを受け取ると、グラスにワインを注ぎながらヴェルデは問いかける。

「お前、俺がなんか企んでるのかと思ってんのか?」

「まぁな、貴様の事だからなにかしら企んでいるのかと思ったのだが…違うのか?」

「違う、別にそんなに深い意味もねぇよ
なんとなくお前等の様子を知りたくなった、ただそれだけだ」

「気持ち悪いな」

「うるせぇ、あとはそうだな…」

グラスを口につけて一口含みながらリボーンは窓の外の夜景を見つめた。










『ッ…違う…僕は…』










「…」

「おい、どうした」

リボーンは廊下であったマーモンとのやり取りを思い出しているとヴェルデから声をかけられ、夜景から目を逸らした。

「…いや、ただまぁ…おもしろいもん見たからちょっかいかけてやろうとしただけだ」

「…なにを言っているのかさっぱり分からん」

言葉の意図がわからず、怪訝そうな表情のヴェルデを横目にリボーンは"ハッ"と鼻で笑った。

「だろうな、これはトップシークレットだからな」

「…そういえば、風とマーモンに会わなかったか?
マーモンがトイレに言ったのは知っているが、風も見当たらないが」

「あいつらならマーモン疲れてるからって風が送っていってるはずだ
そろそろ風は帰ってくるんじゃ…」

リボーンが話しかけていると部屋の扉が開かれる音が聞こえ、2人は顔を向けた。

「おい、遅いぞ風
こいつと二人きりになんか…」

ヴェルデが文句の1つでも言ってやろうと声を掛けるとピタリと言動が止まる。

「おい、どうしたヴェル…」

ヴェルデが止まり疑問を抱きながらリボーンは入ってきたであろう風をよく見て同じように止まってしまった。










「…お前、マーモンなんか抱っこしてどうしたんだよ風」

「えっと…これは、その…」

「おい、満更でもないような顔をするな」










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