飲酒注意報
「リボーンに見られていたんですね、あの時」
マーモンに用意された部屋の中に入り、ソファーに座る2人。
マーモンから先程リボーンと交わした会話を聞いて風は言葉を漏らした。
「そうみたい、まぁリボーンの事だから愛人と来てたんじゃないかな
あいつ、愛人結構いるし」
「その可能性はありますね」
「しかし、めんどうな奴に見られたな…
他の奴等に言いふらされなきゃいいけど」
「マーモン」
「ム、なにさ?」
風はマーモンに声をかけながら自分の手をそっと重ねて顔を覗き込む。
「…私達の関係を他の人に伝えるのは、やはり恥ずかしいですか?」
「…」
「私としては、やはり他の方々に伝えた方が今後の為にもよいかと思うんです
貴方に変な虫がつかなくなったり、堂々と貴方の旦那である、ということを宣言できますし」
「…風」
「貴方は、どう思いますか?」
真剣な眼差しでマーモンを見つめながら語る風。
マーモンはそんな風を見つめ返した後、スンッと真顔になった。
「そもそも、僕と君はそんな関係じゃないだろう?」
「今の流れならいけると思ったのですが…」
「いけるわけないだろ、馬鹿
そこまで僕はちょろく見えるかい?」
「先程の会場からチョコレートを持ってきたのですが」
スッと会場から持ってきた風の手の平に置かれたチョコレート。
風が言い終わる前にマーモンに瞬時に取られてしまった。
「ありがとう、頂くよ」
「まだいいとは言ってないですよ」
「知らないね、僕に差し出したということはそういうことだろう…ッ…ムム…これ…」
ジトリとした目つきで見てくる風を横目で見ながらチョコレートの包装を外して口の中へと入れる。
最初の方は美味しそうに食べていたが、カリッと噛んだ後にドロリとした液体が出てきてマーモンは顔を顰めた。
「どうしました?」
「これ、洋酒入ってるチョコレートだ…初めて食べた」
「本当ですか?1つ貰っても?」
「うん、というか残りは君に返すよ…ちょっと、僕には」
口元を手で押さえ残りのチョコレートを風の手の平へと戻し、マーモンはふらりと立って部屋から出ていった。
心配になりながらも風もチョコレートを1つ口に入れて噛んでみると洋酒の味と匂いが広がったのがわかる。
「けっこう度数強めですね…これはこれで美味しいですが」
残りをテーブルへと置いてマーモンの後を追うように部屋から出ると、マーモンが廊下に座り込んでおり風は慌てて駆け寄った。
「マーモン?!どうしました?もしや、体調でも…」
「ッ…ぅ…風…水、取りにいこ…ちょっと、立てなくて…」
風が顔を覗き込むと、マーモンは口元を手で押さえていた。
頬は火照り赤くなっており、先程のチョコレートの洋酒にやられたのだと風は察する。
「それなら、一旦部屋へと戻りましょう?
少し横になっててください」
「…いや、いい…」
「ですが、このままここで座っているわけには…」
「…風」
マーモンは風の首に腕を回し、虚ろな瞳で見つめた。
「抱っこして…連れてって…」
「…は…はい…?」
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