飲酒注意報
「なにやら廊下の方から声が聞こえてきたと思えば…
一応この階全て貸し切っていたのが救いですかね」
マーモンを庇うように自分の背中へと隠し、リボーンとマーモンの間に風は割って入った。
「相手が嫌がることをするのは感心しませんよ、リボーン」
「ちげぇよ、そうじゃねぇ
こいつに頼み事があるからその話をしていただけだ」
「その割には距離が近かったように見受けられますが
それに、マーモンが困るようなお話もしていたようですし」
「お前もしかして…最初から聞いてたか?」
「さぁ、どうでしょう?」
にこにこと微笑みながらもリボーンを警戒する風を見て、リボーンは両手を軽く上げた。
「まぁ、そう受け取られても仕方ねぇか
悪かったな、マーモン」
「いや…僕は別に…」
「…マーモン、貴方も任務後でお疲れのようですしお部屋に行きますか?
今、会場に戻ると酔ったコロネロの惚気話を聞くことになりますし」
なんだそれ、それはそれでめんどうそうだ。
「あぁ、そうするよ
リボーン、さっきの話はまた今度聞かせて」
「わかった、時間がある時に連絡する」
そう言いながらリボーンは会場である部屋の扉を開けて中へと入っていった。
それを見送った2人はふと視線が合い、風はにこりと微笑んだ。
「大丈夫ですか、マーモン」
「別に、君が心配するような事はないよ」
「そうですか?その割には困ったようでしたが…」
「困った…うーん…僕は困ってた…のかな?」
風に言われてマーモンは顎に手を当てながら考える。
「…そうだね、たぶん困ってた」
「たぶん、って」
「困ってた、というよりも顔が近過ぎて不快、のほうがたぶん合ってる」
「…ふふッ」
キッパリと告げるマーモンに風は思わず吹き出してしまう。
「ムム、なんだよ」
「いえ、貴方らしい、と感じただけです」
「ム…」
いつもと変わらない様子に風は安堵の息を漏らしながらマーモンのフードへと手をかけて優しく被せる。
「部屋まで送りますよ
送ったら私はもう少しだけ飲みに…」
「待って」
「どうしました?」
マーモンの手を引いて部屋へと向かうと静止の声が聞こえて風は歩みを止めた。
「…少し、僕に時間をくれない?」
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