飲酒注意報
「それじゃ、始めるか」
リボーンは5人がワインの入ったグラスを手に持ったのを確認すると、スッとグラスを持った手を上げた。
「アルコバレーノの呪いが解かれ、各々自分の人生を新たに歩み出したと思う
ちと時間が経っちまったが、それを祝して今日は思う存分楽しみやがれ
それじゃ、乾杯」
リボーンがそう声を掛けると、"乾杯"とコロネロとスカル、風が言い、グラスに口をつけてワインを飲み始める。
「マーモン、お前は飲まないのか?」
「僕、お酒飲めないの
君は知っているだろう?」
一人だけグラスにレモネードが注がれているマーモンを見て、ヴェルデは隣に立ちながら聞く。
グラスを軽く揺らし、中のレモネードをジッと見つめながらマーモンが答えると、ヴェルデはワインを口に含んだ。
「…相変わらずおこちゃまだな」
「そもそも、僕としてはお酒のどこが楽しいのか理解できないんだよね
体に悪いだけじゃないか」
「甘いものの食べ過ぎも体に良くないがな」
いつの間にかマーモンの目の前のテーブルに並べられているスイーツの数々。
それを見たヴェルデは胸焼けを起こしそうな感覚がした。
「いいんだよ、僕は
超能力に加えて幻術も使うとなると頭をたくさん使うからね
その分補給をしないと」
「…程々にしろ
というか、いつの間にそんなに取ってきたんだ」
「あぁ、それはこうやって…」
片手に持ったシュークリームを頬張りながらもう片方の手をスッとテーブルに乗ったスイーツへと向ける。
すると、マーモンの手に合わせるようにスイーツは宙を浮き、目の前にある空の皿へと乗った。
「んむ…まぁ、こうやって」
「超能力使う意味あるのか?」
「僕が動かなくて済む
でも、これはこれで頭を使うからうーん?って感じがする」
「本末転倒だな」
「こら、マーモン
貴方またそのような事を…」
コロネロと少し離れた所で会話をしていた風だったが、宙に浮いていたスイーツを見ていたのか呆れた表情を浮かべながら2人の会話に入り始める。
「保護者が来たぞ、マーモン」
「保護者じゃありません
マーモン、私がバランス良く食事を持ってきますのでそこで待っていてください」
「いや、もうお腹いっぱいだからいらない」
「なにを言って」
「おいマーモン
先程大量に置いていたスイーツはどこに行った」
ふとテーブルを見ると空になっている皿の数々。
「それはもちろん、僕が食べたけど」
「こら、食べ過ぎですよ
そもそも貴方、そんなに食べられるなら食事の量をですね…」
「僕トイレっ」
風の説教が始まりそうな予感がし、マーモンはトトトッと逃げるように風から離れていく。
「あ…もう…」
「お前も大変だな」
「そんな事ありませんよ、マーモンと一緒にいれて嬉しいですし
今日は会う日では無かったのでなおさらです」
「お前らしいと言えばお前らしい
…1つ聞いていいか?」
「はい、なんでしょう?」
ヴェルデは風が片手で持っている皿に乗せられた山盛りの料理を見た。
「その皿にのっている量、全部食べるつもりか?」
「え?当たり前じゃないですか」
「…似た者同士だな、方向性は違えど」
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