飲酒注意報
『どうだ、リボーン
君に言われるまでもなく、ものの短時間で終わらせてやったよ』
マーモンの任務先へと連れられ、移動時間も含めて2時間程。
ターゲットであるファミリーを殲滅し、部下に指示を送るのが一段落したマーモンは、近くに姿を現したリボーンに得意げな表情を向けた。
『おーおー、すげぇな
流石サイキッカーマーモン様よ』
『ムムッ、なんだよその反応は』
適当にあしらうリボーンの反応に、マーモンは口をへの字にしながら見上げる。
『僕の実力、見直したかい?』
『そうだな、及第点と言ったところか』
『おい』
『…っと、まだ移動含めても時間があるな』
『?』
手首につけた腕時計で時間を確認した後、リボーンはスマホを取り出して電話をし始めた。
『よぉ、スクアーロ
急なんだが、マーモンって明日任務入ってるか?』
『え、ねぇ、なんでスクアーロに電話してるの?
というかなんで連絡先知って』
電話の相手がスクアーロと知ったマーモンは少し焦りながらリボーンのスマホを取ろうと背伸びをして手を伸ばす。
しかし、身長差がある為に届くことはない。
『任務無いか…なら話が早い
今晩と明日、2日間マーモン借りるぞ』
『?!』
『別に報告なんて部下にやらせりゃいいだろ
それとも、お前ん所の部下は報告の1つや2つ出来ねぇのか?』
『おい、勝手に話を進め』
『…そうか、なら交渉成立だな
あとで美味い酒と肉でも送っとく…じゃあな』
ピッ。
通話ボタンを切ったリボーンはマーモンへと向き直る。
『よし、飲み行くぞ』
『あぁぁぁぁ…お前…その為に挑発したな…』
『勝手にのったのはお前だ、馬鹿』
『…』
頭を抱えながらリボーンを忌々しそうに睨みつけていたマーモンは、"それなら逃げるか"と思い体から霧を醸し出す。
『逃げんな』
『むぎゃッ!』
察したリボーンがマーモンの背後に立ち、首元に手刀を食らわせるとマーモンは声を上げながらぐらりと体勢を崩した。
倒れるのを阻止するためにマーモンを支えたリボーンは、懐から大きな白い布製の袋を取り出してマーモンをその中に入れると担ぎ上げる。
『…よし、行くか』
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「…てな感じで、こいつのこと連れてきた」
サラリとマーモンとの行動を説明をしたリボーンに風は深いため息をついた。
「またそのような乱暴な手を…」
「乱暴はしてねぇよ
ただ、あまりにも騒ぐから寝かせただけだ」
「…」
これ以上はなにを言っても無駄そうですね。
「む…い…った…」
ソファーの方から声が聞こえ、5人が振り向くとマーモンが首元を押さえながら起き上がっているのが見える。
「マーモン、大丈夫ですか?」
「え、あれ…なんで君がここに…というか、ここどこ?」
慌てて風はマーモンへと近寄り声を掛けると、マーモンは不思議そうに風を見た後に部屋を見渡した。
「まさか君…」
「いえ、私ではなくリボーンです」
「リボーン…あ…思い出した」
風に言われて気を失う前の事を思い出したマーモンはいつの間にか自分の目の前に立っているリボーンを見上げる。
「よぉ、随分と遅いお目覚めだな」
「お前…ッ…風、ここは何処なの」
「リボーンが本日の飲み会で借りたホテルの一室です
他にも各一人ずつお部屋がご用意されてます」
「…またとんだ無駄遣いを…
まぁ、いいや
僕は飲むつもりもないし帰」
「ほぉ、それは残念だな
高級店のスイーツも取り揃えてあるんだが」
「…」
チラリと室内に準備されている食事の中にスイーツが置いてあるのをマーモンが見た。
「…まぁ、リボーンの奢りだし食べないと勿体ないか」
「現金な奴だな」
「マーモン…」
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