飲酒注意報


「…リボーン、これはどういうことでしょうか?」

マーモンを袋から出し、抱きかかえて近くにあったソファーに寝かせながら風は微笑みかけながら問いかける。
その気迫に押されてかスカルは"ひッ"と小さく声を漏らしてヴェルデの背中へと隠れた。

「袋を渡された時に柔らかさと重さと匂いで"まさか"とは思いましたが…」

「おい、あいつ今サラッとやべぇこと言わなかったか、コラ」

「安心しろ、通常運転だ」

「どういうこともなにもねぇよ
俺がボンゴレ本部に行った時に…」

-数時間前-

『お』

『ム…げっ』

ボンゴレ本部内で歩いていると正面から歩いてくるマーモンの姿を見てリボーンは声を上げた。
その声に反応をしたのか、マーモンが顔を上げリボーンの姿を見ると同時に嫌そうな表情を浮かべる。

『なんだ、その嫌そうな顔はよ』

『…君にはなるべく関わりたくないからね』

『…』

スッとリボーンが一歩近寄るとマーモンはそれに合わせて一歩下がる。
その態度が気に食わないのかリボーンはガシッと頭を掴んでギリギリと力を込めた。

『ムギャッ!いたいいたい!』

『お前がこっちにいるなんて珍しいじゃねぇか』

自分の手を払おうとぶんぶん手を振る様子を嘲笑った後、パッと掴んでいた手を離しながら問いかける。

『あ…あぁ…今から任務なんだけど、その前にスクアーロからお使いを頼まれてね…』

痛そうに頭を押さえながらリボーンからの問いに返答をすると、"ふぅん"と納得したように声を漏らすとジロジロとマーモンの全身を舐めるように見る。

『…なんだよ』

『いや、相変わらず貧相な体型したクソチビだと思ってな』

ハンッと鼻で笑いながら悪態をつかれ、マーモンはイラッとしリボーンに背中を向けた。

『悪いけど、僕は君みたいにふらふらとしてる程暇じゃないから
お先に失礼するよ』

『まぁ、待てよ』

『?』

一歩踏み出そうとすると肩を掴まれマーモンは不思議に思いながら振り向いた。

『なに?』

『今日アルコバレーノで飲みあるんだが、お前も来いよ』

『…僕、今から任務って言ったはずだよね
今日は深夜までかかる予定だから無理だし、空いていたとしても参加なんてごめんだね』

んべ、と舌を出しながらマーモンは拒否をし、肩を掴んでいるリボーンの手を払い除ける。

『アルコバレーノ唯一の術士でサイキッカーのお前がそこまでかかるなんて、腕が落ちたんじゃねぇか?』

『…』

口角をあげ、挑発するような口ぶりで言うとマーモンの動きがピタリと止まり、リボーンをギロリと睨み上げた。

『…なんだって?』

…釣れたな、こりゃ。

『いや?ただの俺の独り言だ
全盛期の頃ならパパーッと終わらせていたのに随分と時間がかかるなぁと思っただけだ
ヴァリアーでおこちゃま王子のお守役して甘いもの食べながらぐうたらしてたらしいもんな、そりゃ、腕が落ちて当たり前か』

『…』

腕を組みながらマーモンを見下ろし、ペラペラと矢継ぎ早に言うとマーモンは黙り込んで聞いている。

『んじゃ、ヴァリアーの任務で時間がかかりそうだし?
俺はお前の足止めをするのはこの辺にしとくわ
邪魔して悪かったな』

マーモンから視線を外して背中を向け、ひらりと手を振りながら歩いていく。

『待ちなよ』

『!』

目の前に霧が広がる。
リボーンが目を見開いていると自分の背後に立っていたはずのマーモンが霧と同時に自分の目の前へと立っていた。

『君、今から暇でしょ
夜には開放してあげるからついてきなよ』

『は?なんで俺がついていくしかねぇんだよ』

『随分と僕の事、挑発してくれたからね
そんなに言うなら僕の実力見せてあげる』

『…』

口元に怪しげな笑みを浮かべ、マーモンはくるりと背中を向けるとついてこいと言わんばかりに先に歩き出す。

『…ほぉ、おもしろいじゃねぇか
それならお手並み拝見させてもらうわ』

しばらくマーモンの背中を見ていたリボーンだったが、口角を上げて笑うとマーモンの後をついていった。










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