飲酒注意報


「これか?気にするもんじゃねぇ
風、これ頼むわ」

「えっ、ちょっと」

ポイッとリボーンに投げ渡されて風は慌てながらもキャッチをする。

「…?」

この軽さ…それに、感触…。

「まさか…」

「お前等、集まったな」

風の様子をチラリと一瞥した後、リボーンは他3名に体を向けた。

「今日はこのホテルの最上階貸し切りだからとりあえず行くぞ」

「よっしゃー、飲みだー!」

「コ、コロネロせんぱ…いい加減離し…」

「どうせお前死なねぇからいいだろ、コラ」

「よくな…」

「…」

「おい、風
置いていかれるぞ」

リボーンに連れられてホテルの中へと先に入っていく2人を他所に動かずに袋を見ている風にヴェルデは近寄りながら声をかけた。

「邪魔ならばそこら辺に捨てていけばいい」

「…いえ、そういう訳にはいかなそうです」

真剣な眼差しで袋を見続けている風。

「…まぁ、リボーンになにを言われるか分からんからな
持っていくなら気を付けて運ぶことだ」

「はい、そうですね…丁重に運びます」

半歩先に歩いていくヴェルデの後を袋を大事そうに抱き抱えながら風はついていく。
ホテルの中に足を踏み入れると煌びやかな装飾が施されており、他にも宿泊客が訪れていた。
エレベーターの前には先に入っていた3人が来るのを待っている。

「遅いぞ、お前等」

「そんなに急ぐこともないだろう、せっかちな奴だ」

リボーンとヴェルデが一言二言交わすと"チンッ"とエレベーターが到着する音が響き、扉がゆっくりと開けられる。
5人は乗り込むとリボーンが操作をし、少しすると扉が閉められて浮遊感を感じ、上昇していることを伺えた。

「今日お前は非番だったのか、コラ」

「いや、ボンゴレ本部で打ち合わせしてた
今晩と明日は空いてるからついでに飲むかと思って今日呼び出したんだ
お前は?」

「俺もちょっとこっちに野暮用があってな、家光に呼び出されてた」

「家光に、ねぇ…」

「スカル、大丈夫ですか?」

「お、おぉ…なんとか…っとに、本当俺の扱い酷すぎじゃね?
一番下だからってのもあるかもだけどよぉ…」

「そんなことありませんよ、貴方が可愛くて2人ともちょっかい出しているだけですから」

「…はっはー!まぁ、俺様って人に好かれやすいし?
リボーンとコロネロが俺の事そーんな風に思ってても仕方がないっつーか?」

「フフッ、その意気です」

「風、あんまり調子に乗らせるな
うるさくなる」

くだらないやり取りをしているといつの間にか最上階へとたどり着いたのか、再び"チンッ"という音が響き渡る。
扉がゆっくりと開かられると廊下が現れ、壁には装飾品が飾られていた。

「この階丸ごと借りてあるから、寝る時は一人一部屋使え
んで、今から飲むのは…」

長い廊下を歩き終え、一番奥の部屋の前へと立ち止まるとリボーンは扉を開けた。
中は広々としており、イタリアの街が一望できるほどの大きな窓が印象的。
更には、数多くのアルコールが取り揃えており、料理の種類も目を見張るものだった。

「おぉ、すげぇ!」 

「ラルにも見せてやりたかったぜ、コラ!」

「またなんとも豪勢にやりますね」

「たまにはいいだろ、息抜きも必要だからな」

キャッキャとはしゃいでいるスカルとコロネロを見ながら風はリボーンの隣へと立ち声を掛ける。

「ところでリボーン」

「なんだ?」










「マーモンは、どちらに?」










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