嫌味な奴に一泡を


「こんにちは、マーモン…おや?」

ガラリと意気揚々と窓を開けながら挨拶をする風は、室内にいるであろうマーモンがいないことに疑問を抱いて首を傾げた。
室内を見渡すもマーモンの姿はおらず、タンッと床へと足をつけ部屋の中を歩き出す。

「昨日眠ってしまったからそのまま出てきてしまいましたが…もう起きてるようですね
しかし、本日は昼まで任務がないはずですが…一体どちらへ…」

ベッドを見てみるとマーモンの姿がない。
おそらく起きていることが推測できた風は手に持っていた手荷物をテーブルに置こうとした。

「ムギャッ!!」

「?」

どこからかマーモンの悲鳴混じりの声が聞こえ、風はピクリと反応をした後にテーブルに手荷物を置いてから声が聞こえてきたであろう方向を風は向いた。

浴室から聞こえてきましたよね、今。
ということはシャワー中でしたか。
しかし、今の声…一体なにが…。

少し考えた後に風は様子を見に行こうと浴室へと向かう。
浴室の中からはなにかがぶつかったり倒れたかのような音が響いている。

「マーモン、大丈夫ですか?」

中の様子が想像出来ない風はコンコンッとノックをしながら声を掛ける。

バァンッ!

すると、いきなり浴室の扉が開かれ、なにも身に纏っていないマーモンが現れた。

「ッな…!」

その姿に風は驚くも、マーモンがそのまま風へと勢いよく抱きついてくるとよろけながらも受け止めた。

な、なんですかこの美味しい展開は…ッ。

微かに震えているマーモンの体の柔らかさを感じながらもハッとして抱きしめて暖めようとする。
マーモンはぎゅぅぅと力強く風に抱きつきなにも言わない。
猫耳は微かに濡れて寝てしまい、尻尾も元気がないように垂れ下がってしまっている。
なにかに恐怖をしているのは一目瞭然だった。

「あの、マーモン…一体なにが…」

「…れ、ない…」

「…?聞こえないのでもう一度聞いても」

問いかけると小さな声で途切れ途切れになにかを言っているのが聞こえてくる。
風は顔を近付けて再度問いかけると、マーモンはバッと顔を上げて涙目になりながら口を開いた。






 

「水、怖くてシャワー浴びれない…ッ」

「…はい?」









5/15ページ
スキ