最近俺の教育係がおかしい件


「ッはー…マーモン、まじで基礎体力無さ過ぎ」

ベルは目の前でワイヤーに絡まり身動きが出来なくなったマーモンを見て呆れたように言う。

「…君が馬鹿みたいにナイフを投げるのが悪いんじゃないか」

「そんな投げてねぇよ、ざっと200位だし」

「簡単に言う数字じゃな…ッ」

身じろぎをすると肌にワイヤーが食い込んでしまいマーモンは顔を顰める。

「あんま動くと切れるからやーめとけって
ナイフ避けるのに夢中になりすぎてワイヤーの場所把握出来て無さ過ぎ
どっちも動かせるようにしねぇとな」

マーモンの視線に合わせるように身を屈め、ニンッとはにかむベルを目にマーモンは複雑そうに顔を逸らした。

「ムムム…君にそうやって上から目線で言われるの腹立つ」

「いつまでも俺の教育係気分でいるなよ
俺だって成長してるんだし」

「…そうだね、うん…もう8年も経ってるんだから当たり前か」

8年前のベルの小さかった頃の姿を思い出し、どこか懐かしむような声色で言う。

「小さいわがまま王子が、こんなに無駄にでかいわがまま王子になるなんて」

「お前、今の自分の立場わかってんの?
お前の命は今、王子の手のひらの上だかんな」

ぺちぺちとナイフで軽く頬を叩かれてマーモンの頬に冷や汗が伝う。

「わ、わかったから早くこのワイヤー解いてよ
もう今日の運動はおしまい」

「あんま動いてねぇじゃん…ったく
解くから動くなよ、さっきも言ったけど切れるから」

ベルはマーモンに絡まったワイヤーを解こう"えーっと"と口に出しながら床に落ちたナイフをとりあえず回収していく。
自分に絡まったワイヤーに繋がっているナイフをベルが拾い上げると、振動で痛みがわずかに走った。

「ッ…ベル…」

「あん?あー、これ繋がってるやつか…うわ、解くのめんどくさ」

「君が投げまくるから…ッん…ちょ、考えてナイフ拾ってよ…食い込んで、痛い」

「お前気にしてたらいつまで経っても終わらねぇって
少し位我慢我慢」

ベルは少しめんどくさそうに頭をかきながらナイフ回収を再開した。










こ、これ…いつまで続くんだろうか…。










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