最近俺の教育係がおかしい件


「…それで、どういう風に運動するのさ」

アジト内にある訓練場についたベルとマーモン。
マーモンは軽く伸びをして準備運動をしながら平然と立っているベルへと声をかける。

「うししッ、簡単な話
お前は俺のナイフを全部避ければいいだけ」

数本ナイフを手に取ると1本宙へと投げてそれに続いて2本3本と投げジャグリングをしながら言う。

「なんだ、それだけかい?
それなら簡単だね」

「だろ?」

シュッとベルが試しに投げてみると、マーモンはヒョイッと軽々と避けてみせる。

「それじゃ、もうちょい増やすか」

そう言いながらベルは懐からナイフをザッと取り出しそれらを全て宙へと浮かせる。
"ちょっとじゃなくない?"と思いながらもマーモンが微かに霧を醸し出すと、ベルが"あ"と声を上げた。

「マーモン、お前幻術と超能力禁止」

「え?」

「当たり前じゃん、だって"運動"すんだろ? 
頭の方じゃなくて体動かせって言ってんの」

「そうだけど、なら少なくしてよ
流石にその数が一気に来たら避けられる自信がない」

「ししッ、なぁに舐めたこと言ってんだよ
お前、ヴァリアーの幹部の一員だろッ」

ベルの言葉に頬に汗が伝う。
ベルはそんなのお構いなしに1本投げ、その後に5本連続で投げ続ける。
マーモンは少し戸惑いながらもナイフを避け続けるもふと左腕に痛みが走り目をやる。
すると、なにやら鋭い物が当たったかのように切り傷ができておりそこから血が滲み出す。

…これって…。

「…ワイヤーナイフはやり過ぎじゃない?」

「お前が運動したいっていうから、俺も心が痛むけど?仕方なく?お前のためを思ってだよ」

「嘘つけ、今君すごいいい顔してるからね?」

「お前、お喋りしててもいいのかよ
ずいぶん余裕そうじゃん
こりゃ、一気に増やしてもいいかもなー」

にんまりと笑いながらベルは先程浮いていたナイフの倍の数を宙に浮かせる。
マーモンは思わず"やば"と声を漏らしながら後ずさってしまう。

これは…頼む相手間違えたな…。

「下手な避け方すりゃナイフでぐさり
考えて避けなきゃナイフ避けた後にワイヤーでざっくり
頭と体、両方動かしながらなんとか避け続けろよマーモン?」

「ッ…ほんっと君…いい性格してるな…」










「うししッ、だって俺王子だもん」










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