最近俺の教育係がおかしい件


「もう、早く離して
君はそうやってべたべたと触るんだから」

「うししッ、やーだね…お?」

マーモンは煩わしそうにベルに手を離すように伝え、ベルも頬から手を離そうとすると頬の柔らかさを感じそのままむにむにともみ始める。

「うむ、むむむ」

「マーモン、お前少し太った?」

以前触った時よりも頬の弾力が増している感じがして言うと、マーモンの動きがピタリと止まった。

「え」

「二の腕触った時も思ったけど前よりむにむに感が増してるっていうかさ
触り心地いいから王子的にはいいんだけど」

「…」

「体元に戻ってからそんなに食欲出てきてるわけ?
まぁ、お前元々痩せ過ぎな位だったしむしろもっと肉つけたほうがー…」

そこまで言いかけて手を離しながらふと顔を見てみると、マーモンの顔が青くなっている。

「…あいつが…お菓子…いや…食べる僕も悪いけど…でも、ご飯食べる量減らしてるし…」

「おーい、マーモーン?」

「ベル!」

「おぉ?」

自分の頬を手で抑えながらぶつぶつと呟き出す様にベルは顔を覗き込む。
すると、マーモンはバッと顔を勢いよく上げ、ベルはそれにビクッと肩を跳ねさせた。

「体、動かしに行こ」

立ち上がりツカツカと歩いていくマーモンをぽかんとしながら見つめた後に、ハッとしてベルは立ち上がり後をついて行く。

「お前、普段体動かすなんてしねぇじゃん
そんなに太ったこと気にしてるわけ?」

「別にそういうわけじゃないけど、動かしたいだけさ」

ぜってぇ気にしてるじゃん。
でもこいつ、結構言い出したら聞かねぇからな…。

「…別に俺はいーけど
でも、お前病み上がりみてぇなもんだからあんま無茶されると俺がスクアーロに怒られんだからな
右手の握力、まだ戻ってねぇんだろ?」

「まぁね、でも元々そんなに握力なかったし気にする必要はないさ
それに、別に手は使わないし」

両手をグーパーと握ったり開いたりしながらマーモンは自分の手を見せる。

「ふぅん、なら王子は高みの見物してるから」

「え、手伝ってくれないの?」

「なんで俺が手伝う前提で話してるわけ?
王子は普段から体動かしてるし、する必要は…」

そこでベルは言葉を止める。










…いいこと思い付いた。










「…ししッ、いいよ
王子が手伝ってやんよ」  

「…ムム」

しばらく黙り込んだ後にベルは満面の笑みを浮かべながらマーモンに告げる。
すると、マーモンは嫌な予感がしてるのか少し疑いの眼差しを向けた。

「君がそういう反応する時は大概面倒なことになりそうなんだよなぁ」

「安心しろって、お前の運動にちゃぁんと付き合ってやるからさ」

「そのねちっこい言い方やめてよ…まぁ、よろしく頼むよ」

「うししッ、任せとけって」

機嫌が良さそうに自分よりも先に部屋から出ていくベルの背中を見てマーモンは少し不安になりながらも後に続いて部屋から出ていった。










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