不明瞭な気持ちで


「ッん…むむ…ぅ…」

カーテンの隙間から差し込む光にマーモンは声を漏らしながらゆっくりと瞳を開ける。
天井をボーッと見つめると、自分の部屋とは似つかない。

あれ…僕…。

未だに覚醒しない頭を動かそうと横を見ると、風の顔があり"むぎゃッ!"と驚きの声をあげる。

なんで風…あ…そうだ。

だんだんと覚めてきて昨日は風と水族館に行き、ホテルに泊まったことを思い出す。
風に再度顔を向けると眠っているのか反応はなく、寝息が聞こえてくるのみ。

「…寝てる」

風が寝てるの、初めて見るな。
いつも日中に来て夜帰るから初めて見るのは当たり前なわけだけど。
壁にかけられた時計へと目をやるとまだ午前4時。
体を起こそうとするも、風が抱き着いているためか動くことができない。
 
…動こうにも動けない。
まぁ、まだ朝早いしもう一眠りしてもいいか。

「…ふあ」
 
そう思いながら小さく欠伸をし、暖をとろうと風の広い背中へと手を回してギュッと抱きついた。

「ん…」

抱きつくと風が身じろぎをし、うっすらと瞳を開けてマーモンの顔を見つめる。

「あ…ごめん、起こしたかい?」

「…」

起こしてしまったと思い謝るも、ボーッとした瞳でマーモンを見つめ続けている。

「まだ朝だから、寝てて」

「…ふふ」

「ムム?なに笑って」

ぽやぽやとまだ眠たそうな瞳を向けながら微笑む風に疑問を抱いていると、マーモンを抱きしめた。
いつもよりは力がないのを感じ、寝ぼけていることを察した。

「…マーモン…好きです…」

「…はいはい」

眠たげな声で言う風に少し驚きながらも小さく口元に笑みを浮かべ、少し呆れた口調で返事をし頭に手を伸ばして優しく撫でる。
すると、風は瞳を閉じすぐに寝息が聞こえてきた。











「…まったく…寝ながらも僕のこと考えてるとか、どれだけ好きなんだ、こいつ」










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