不明瞭な気持ちで
「収めるってなにをだよ」
"とりあえず離せ"というも風は一向に離す気配はない。
…まったく、なんなんだよ一体…。
「…はぁ…わかったよ…もう好きにしろ…
でも、この体勢キツイから座らせて」
「座るとは、どこに」
「…よいしょ」
離れることを諦めたマーモンは少し力が緩んだと感じると横になっていた体を起こし、風の太ももの上に跨るように座り直した。
「ッ!マ、マーモン?!」
「なんだよ、君もこの方が楽だろう?
僕としては嫌だけど」
珍しく動揺している風に疑問を抱き、首を傾げながら寄りかかる。
「そうですけど、有り難いですけど今は…!」
「今もなにも、なにをそんなに慌てているの」
ゴリッ。
「ム…なにか太ももに当たっ…て…」
太ももになにやら硬いものが当たる感触があり、下を向いて確認をした。
目に入った光景にマーモンが動きを止めると、風は片手で口元を覆い隠し頬を赤らめる。
「…すいません、流石にこう密着しているのと貴方のことを見ていたら…頭では我慢しているつもりですが…」
「…!」
風の言葉と視界にうつったものを見て状況を把握したマーモンはカァァッと顔を赤くしていく。
「ご、ごめん…いや、流石に僕も不注意過ぎた!
い、いま退くから!」
バッと風の上から素早く降りるとマーモンは風へと背中を向けて立った。
「と、りあえず僕着替えてくるから着替え、くれる?
その間に収めるなりなんなりとしといて…」
「すいません、気を遣わせてしまい…ですが、大丈夫です
精神統一をすればこの程度」
風は一呼吸置いてから立ち上がるとソファーの近くに置いてある鞄の中からマーモン用の着替え一式を手に取った。
「マーモン、これ」
「ん、あぁ…ありがと」
後ろからちょいちょいと肩を叩きながら声をかけられたマーモンは微かに体を向け風に顔を向けないまま受け取りそそくさと洗面所へと向かっていった。
洗面所の扉をパタンと閉めたマーモンは壁によりかかるとズルズルと壁伝いに座り込み顔を両手で隠した。
「ッや…」
…ッらかした…ッ!
あいつのペースに慣れちゃって自らあいつに密着するとかなにを考えているんだ僕は…!
マーモンは先ほどの己の行動を思い出し、叫びそうになるも口元を手で押さえながらなんとか叫ぶのを堪えた。
よくよく考えたら布切れ1枚しか身に着けていない状態で、自分に好意を抱いている奴に自らくっつくなんて…そりゃ、あぁなるに決まってる!
…というか、あいつ僕に反応するのかよ…好意持っているのであればそうなんだろうけど。
性的な意味で反応されるとは…。
"精神統一をすれば"なんて言ってるけど、どうしよう。
どのくらいここにいればいいのかな。
そういうの個人によってか…かかる時間とかも違うだろうし…。
と、とりあえずあいつが呼びに来るまでここで時間を潰すしか…。
「…そうだ、先に着替えを…」
色々と頭の中で考え込むも、深いため息をつきながら一旦着替えようと先ほど風に手渡された服を確認してみる。
下着…本当にサイズ合ってやがる。
まぁ、貰った服も大概合っていたし当たり前か。
あとは服…あぁ、よかった。ナイトキャップついてる。フードじゃないけどあるだけまし…っと、これパジャマか。
明日帰る時の服とか別で合ったりするのかな。
というか、このパジャマ…。
マーモンは1つずつ確認をしていき、最後にパジャマを手に取り眉間にシワを寄せながらジッと見た。
そのパジャマはシャツの様なものになっており、下はショートパンツ…。
「あいつ、どれだけ僕に足を出させたいんだ」
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