鈍感注意報
「それでは、本日は御暇しましょうか」
「珍しいね、今日は早く帰るなんて」
マーモンが風に背中を向けて自身の腹部等を拭いていると風から告げられた言葉に反応をして微かに顔を向けた。
「本当であれば怪我が治るまでは一緒にいたいのですが、そろそろ貴方の様子を見に来る方もいるかと思いまして」
「あぁ、なるほどね
そういう気遣いできるのになんで僕にはしてくれないのか甚だ疑問なんだけど」
「なにを言いますか、貴方には細心の気遣いをしていますよ
今日はどのようなスイーツを手土産にしようか、今日は帰宅がこの時間なのでそれまでには行こう、とか」
「ほんと、僕のスケジュール把握してるの気持ち悪いからやめてほしい
でも…まぁ…」
体を拭き終え、シャツの袖に腕を通しながらマーモンは少し言いづらそうに口を開く。
風は不思議そうにしながらマーモンの前へとやってくると顔を覗き込んだ。
「今回は…ありがと」
「…マーモン」
「はい、それだけ」
ポツリと発した言葉に風がジーンと感動しているとマーモンはいつものローブを身に纏い、ガバッと勢いよくフードを被った。
「ほら早く帰って
来たら来たで面倒なことになるから」
「…ふふ、そうですね
またお時間がたくさんある時にゆっくりとお話をしましょうか」
シッシッとマーモンが手で払うような仕草をすると困ったように笑いながら風はマーモンへと顔を近付ける。
「な、なんだよ」
「…マーモン」
いきなり近付いてきた顔に少したじろぐマーモンを愛おしそうに見つめた後、マーモンの横髪を少し手にとってチュッと軽くキスをする。
「今度、私の前で脱いだ時は覚悟してくださいね?」
「馬鹿言ってないでさっさと帰れ」
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