いつまで経っても慣れなくて


「…そんで、風とはどこまで進んだんだ?」

「んぶッ!」

体育館で授業を受けているツナの様子を、体育館のギャラリーでこっそりと隠れながら様子を見ていたマーモンは、突然リボーンの口から出た言葉に思わず吹き出してしまい、慌てて口を手で押さえた。

「き、君ね…いきなりなに言ってるのさ」

声を小さくして、リボーンの事を怪訝そうに眉をひそめながら聞くと、リボーンは真顔でマーモンを見ている。

「え…なにその顔…どういう心境なの?」

「別に、どうもしねぇよ
それで、どこまで進んだんだ?」

「ちょ、近い近い」

ズイッと近付いて問いかけてくるリボーンを手で制しながら、めんどくさそうな表情をマーモンは浮かべた。

「というか、今任務中」

「なんだ?この任務が終わったら言うのか?」

「言うわけない
というかね、そんなプライベートなことをなんで君に言わないといけないのさ」

「気になるからに決まってんだろ」

「…」

こういうしつこさは、風に通ずるものがあるな。
圧倒的に風のほうが上だけれども。

スッとリボーンから顔をそらし、球技でミスをしているツナの様子を見ながら小さく息を吐く。

「…別に、進むも何もしてないさ」

「そりゃ、意外だな
風のことだから、お前のことすぐに襲いそうだが」

「まぁ…うん…」

確かに迫られてはいた…けれど…。













迫ら…れ…。












"慣れていない、ということでしたら慣れてください
私とのこの距離に、そして…"













"私自身に"











「…むむむ…」

昨夜のことを思い出し、顔に熱が集まる。
マーモンはそれをリボーンに気付かれないようにと体育座りをし、そこに顔を埋めた。

「あ?どうした?」

「…別になにも…」

こいつ…余計なことを思い出させやがって…。
というか、思い出しただけでこうなる僕も僕だけど…。
どれだけ好きなんだよ、風のこと…。

「ちゃんとツナの見張りしろよ」

「君がしてるんだから別にいいだろ…
それに、幻術の僕と視覚共有してるから見えてはいるし」

「便利こったな
それじゃ、お前はまだ童貞処女のままっていうこった」

「しょ…ッ…あ、あのね!
その下品な言い方はどうかと思うんだけど?!」

「だって実際そうだろ?
それともなにか?違うのか?」

「ちッ…う…」

"ハンッ"と鼻で笑いながらからかうリボーンに、マーモンは言葉を詰まらせ、ごにょごにょと呟いた。

「ち…がくは…ない、けど…」

「蚊の鳴くような声だな
昨日あれだけそういうのに興味津々みたいな態度だったってのに
どうせ、風はヤル気だったけどお前がヘタレ過ぎてヤれなかったってオチだろうな」

「うぐッ」

ば、バレてる…。

昨夜の出来事を見透かされたかのように指摘され、マーモンはなにも言えなくなりリボーンから視線をそらす。

「なんだ、当たりか」

「…うるさい」

「…まぁ」

自分の態度を見てか、リボーンの手が頭にポンッと乗せられる。

「俺としては、お前の初めてをもらうチャンスがあるってことで、結果オーライだ」

「…そんなチャンス、僕が与えるわけないだろう?」

「そうか、ならあの時したキスは初めてじゃなかったのか
お前も結構やるな」

「…あれは君の任務で仕方なく…というか、あれは不可抗力だし」

「それに、風はお前に出会ってから何十年も片思いしてやっと結ばれたんだ
それだけで満足なんだろうよ」

「…君は、風のことなにも分かっていないね」

「あ?」

授業の時間が終わることを示すチャイムの音。
その音が体育館の中に響き渡り、マーモンはチラリとリボーンを一瞥した後、立ち上がりながら口を開く。

「なんだ?実際は違うのか?」

「違うよ…あいつは…」











 

「この強欲な僕でさえ引くほどの、強欲な人間なのだからね」












「…」

「まったく、困ったものだよ」

「…お前、そう言ってる割には…」

「ム?」

マーモンの表情を見たリボーンはそう言いながら立ち上がり、マーモンは不思議そうにリボーンを見上げる。

「なにさ?」

「…いや、なにもねぇよ
行くぞ」

なにか言いかけながらもそのままマーモンの横を通り過ぎ、先に行ってしまう。
その後ろ姿を少し眺めた後、マーモンは少し早歩きでリボーンの横へと並んだ













「ねぇ、気になるんだけど」

「うるせぇ、任務中だぞ」

「それ、君が言う?」











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