いつまで経っても慣れなくて
「…なんで、君がここにいるのさ」
自分の肩に、未だに手を乗せているリボーンの手から逃れるようにマーモンは距離を取りながら問いかける。
「お前がツナの所に来るまで、俺が見張ってたからだ
少しぐらい感謝しろよ」
「はいはい、それはどうも」
まるでマーモンが来るのが遅かったと言わんばかりの言い方に、マーモンはカチンときたのか、適当に返事をする。
「…」
ガシッ。
「ム、なにを…むぎゃッ!」
すると、リボーンはピクリと肩を揺らした後にガッとマーモンの頭を鷲掴み、ギリギリと力をくわえていった。
「い、痛い痛い!やめろよ馬鹿!」
「お前がかわいげも何もねぇからだ
普通に礼くらい言えねぇのか」
「君に礼を言うくらいなら…痛いって!離せ馬鹿リボーン!」
「あんまり騒ぐと、雲雀に見つかるぞ」
より一層痛みが増していき、それと同時にマーモンの声量が増すと、リボーンの手がパッと頭から離されてマーモンはしゃがみ込んで頭を手で覆う。
こ、この…いつか、こいつの事…絶対…ッ。
「…沢田綱吉は、今どこらへんにいるのか分かるの?」
何度か深呼吸をし、気持ちを落ち着かせた後に立ち上がりながら問いかける。
すると、リボーンはクイッと顎で校舎の方を指した。
「今、1時間目が終わって2時間目が体育で着替えてる最中だ」
「そう、それならもう君は帰ってもいいよ
ここからは僕の出番だからね」
「まぁ、待てよ」
「?」
リボーンの横を通り過ぎ、校舎へと侵入を試みようとした矢先に腕を捕まれ、マーモンは立ち止まって不思議そうな表情をリボーンへと向ける。
「なにさ、早くしないと彼、殺されちゃうかもよ」
「お前は、ただツナの見張りしてくれりゃいい」
「…?」
ツナの"見張り"?
「そりゃ、それが僕の任務だからね
それと、暗殺者の捕獲…というか、始末」
「だな、だから"見張り"だけしてろ」
「…その言い回しだと、僕に"手を出すな"と言っているようなんだけど?」
「あぁ、そう言ってるんだ」
「…一応、理由は聞いてあげるよ
なんでだい?」
遠回しな言い方に痺れを切らしたマーモンは、瞳を細めジッと見つめながらリボーンへと問いかける。
すると、リボーンはその視線から逃げずにマーモンを見つめ返した。
「ツナのために決まってんだろ
この程度の火の粉、あいつ自身でどうにかしてもらわねぇとな」
「…無理だね
スクアーロから、沢田綱吉にバレないようにしろって言われてる」
「んなもん知るか、家庭教師の俺がそう言ってるんだ
お前は黙って見張りだけして、周りの奴に被害が及ばないようにしとけ」
「こっちこそ、君の意向は知らないよ
今回のこの件は、ボンゴレ側と話をして、僕達ヴァリアーが受け持つことになってるんだからね
それに、この件がスクアーロやボスにバレたら僕の信頼が損なわれてしまうって分からないのかい?」
「…」
「そういうわけで、交渉決裂だから
僕はさっさとこの任務を終わらせて、早く帰らせてもらうよ」
リボーンに掴まれた手を振り払い、背中を向けて校舎への侵入を再度しようと、身体から微かに霧を発生させる。
早くこの任務を終わらせて、リボーンから離れないとな…絶対ろくな事にならないし、もしかしたら風が来てしまうかもしれない。
あと、風に…。
「ヴァリアーの提示する任務の報酬の3倍でどうだ?」
ピタッ。
リボーンから提示される言葉。
その言葉を聞き、マーモンの身体から発せられていた霧の動きが止まり、数秒後には霧は晴れていく。
報酬の…3倍。
「…なにを馬鹿なことを」
「お前にとっちゃ、悪い話じゃないだろう?
ニューヴァリアーリング作ってほぼ無一文だったお前にはな」
「…それはそうだけど…」
報酬の3倍…けど…でも…。
…3倍…。
「…分かったよ…今回だけだからな」
「おう、お前がちょろくて助かるわ」
「言い方…」
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