いつまで経っても慣れなくて


「僕に頼みたい仕事?」

話が長くなりそうな気がして、マーモンは近くにあるソファーへと腰掛けてスクアーロへと先を促した。

『どうやら、ボンゴレ10代目を暗殺しようとしているマフィアがそっちに行ってるって情報が入ってきたんだぁ』

「そいつらを捕らえろってことかい?
それだけなら、ボンゴレの奴等が捕まえればいいじゃないか」

今の彼奴等なら、僕が手を貸すまでもないと思うんだけどね。

その言葉が口から出かかったけれど、マーモンはふるふると顔を横に振ってその言葉を飲み込んだ。

『それが、昨日お前に頼んだマフィアと繋がってるらしくてな
お前がそっちにいるなら、うちが引き受けた方がいいだろ

「…そうだね、それなら話は別だ」

もしかしたら、昨日僕が捕まえた奴等と連絡が取れなくなり、その報復に来ているのかもしれない。

「わかったよ、その任務僕が引き受け…」

そこまで言いかけて、マーモンはハッとした表情を浮かべ言葉を止める。

そうだ、今日は風とデートをする約束をしてるんだ…。
でも、ジャッポーネにいるのは僕だけなんだし、僕が行かないと…。

「…うむむ…」

『どうしたぁ、変な反応して』

「いや、うん…」

どうしよ…デート、約束…でも…任務…。

「マーモン」

「!」

頭を抱えて葛藤をしていると、小さな声で名前を呼ばれマーモンは声が聞こえた方へと顔を向けた。
すると、いつの間にか移動してきていたのか風がマーモンの隣へと立っており、スッと隣へと腰掛ける。

「ごめんスクアーロ、ちょっと待ってて」

一言そう伝えると、マーモンは保留ボタンを押して風へと身体を向ける。

「ちょっと、入って来ないでって行ったろう?」

「すいません、思ったよりも長かったので様子を見に来たのですが、なにやら困っているように見えたので」

「別に困ってはいないけど…ただ、ちょっと任務を頼まれて」

「任務…」

"任務"という単語を出すと、風は呟くように繰り返し、マーモンは"うーん"と困ったように声を漏らす。

やっぱり風はそういう反応するよな…とても楽しみにしていたし。
期待を裏切ってしまったら、また更に面倒な事になりそうだ。

「風、任務は」

「では、急いで準備をしないといけないですね」

「え?」

風の口から出た言葉が意外で、マーモンの口から驚きの声が漏れ出てしまった。
その声を聞いてか、風は"どうしました?"と首を傾げた。

「いや…君のことだからゴネるのかと思って」

「…」

「君、今日のデート楽しみにしていたのに、期待を裏切ってしまって…」

「…ふふ」

申し訳なさそうに言葉を口にすると、風はきょとんとした表情を浮かべた後におかしそうに微笑んだ。

「大丈夫ですよ、私の事なら気にしないでください」

「ムム」

風の手が自分の頭へと伸ばされて優しく撫でられ、マーモンは風を見上げる。

「本心を言えば、貴方とデート出来ないのは残念ですが…貴方の仕事の邪魔をするのはルール違反ですからね
それに、今日出来なくとも別日を設けてすればいいだけですから」

「…別日って…明日にはイタリアに帰るんだけど」

「日本ではなくてもデートは出来るじゃないですか
私は、貴方とデートが出るのであれば場所は問いませんよ」

「む…またそうやって君は歯が浮くような台詞を…」

「これが私の本心ですので」

「…まぁ…わかった…
今日は申し訳ないけど、任務に行かせてもらうよ」

少し葛藤した後、マーモンは手にしていたスマホの保留を解除しようとボタンを押そうとした。

「あ、待ってください」

「…なんだよ?
もうけっこう待たせてるからスクアーロに返事をし」

制する言葉を聞き、スマホから風へと顔を向けると風の顔が間近に来ておりマーモンは驚きから瞳を丸くする。
すると、お互いの唇が軽く触れ合い、すぐに離れてしまった。

「…今は、とりあえずこれで我慢しておきます」

顔を離し、そう一言だけ風が述べると、ソファーから立ち上がり再び寝室へと戻っていってしまった。

…あぁ、くそ…。

マーモンは先ほど風の唇が触れていた自分の唇を指で触れながら熱が集まり、熱くなった頬に触れた。











「…こういう事するなよ…馬鹿」










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