いつまで経っても慣れなくて
「おはようございます、マーモン」
「…あぁ、おはよ」
マーモンと目が合うと、風は柔らかな笑みを浮かべながら挨拶の言葉を口にし、マーモンは挨拶を返した。
「…いつの間に起きてたの?」
「つい先ほどですよ?
貴方がもぞもぞと動いていたのでそれで」
「ムム、それは悪かったね
起こすつもりはなかったんだけど」
「大丈夫です、そろそろ起きようとしていましたので
それで、リボーンがどうしたのですか?」
先ほどのマーモンの独り言がやたらと気になるのか、風はマーモンの頬を撫でながら問いかけ、マーモンはくすぐったそうに身動ぎをする。
「別に、大したことないさ
ただ、昨日あいつに言われたことを思い出しただけで」
「なにを言われたんです?」
「…」
…気になって仕方ない、って感じだね。
でも、流石に…その先のことを考えている事を見透かされて"むっつり"って言われたことを言うのもなぁ…。
「…そういえば、今日は何処に連れて行ってくれる予定なんだい?」
ここは、話を一旦変えたほうがよさそうだ。
「昨日、あれだけ僕と一緒にいたがっていたんだ
さぞ僕を楽しませるデートコースを考えているんだろう?」
「…ふふ」
スッと顔を近付けて覗き込むように風の顔を見つめると、風は少し驚いた表情をするも、すぐに口元に笑みを浮かべた。
「そんなに私とのデートが楽しみだったのですね」
「そういうわけではないけれど、君のことだからなにかしら考えているんだろうなって思って…わふッ」
腰に手を回されてそのまま腕の中に収まってしまい、マーモンの口から小さく声が漏れる。
「昨日は貴方も任務でしたし、少しゆっくりしようかと思いまして」
「ふぅん」
ゆっくり、ね…。
ということはデートではなくホテルでごろごろして良いってことかな。
「そう、ゆっくりしていいんだ」
「えぇ、本日はゆっくりと身体を動かすことにしましょう」
「あぁ、ゆっくりと身体を動か…」
…ん?
「…ゆっくりしてていいんだよね?」
「えぇ、そうです
本当ならば、貴方と一緒に遊園地デートをしたかったのですが近場の遊園地は臨時休園となっておりまして」
「遊園地…そういえば、前にそういう話ししてたね」
「なので本日は、ゆっくりとお散歩でもどうかと」
「散歩か…」
散歩ってくらいだから、本当に少し歩くだけだろうな。
「とりあえず、このホテルから出発をして夕方まで歩き続けましょう」
「そうだね、夕が…」
…夕方?
今の時間って…。
風から視線を外して、ベッドに備え付けられている時計へと目をやる。
現在の時刻 7:30。
夕方までとなると…だいたい10時間…10時間?!
「ちょ、ちょっとそれは」
「今からですとだいたい10時間…
42.195kmは余裕で歩けますね」
「いやそれフルマラソン…」
はっきり言ってそのくらいなら余裕(?)だろうけど、一度こいつのこういうのに付き合うと…あとが怖い。
「ふぉ」
〜♪
「ッ!」
風の発言にタラリと冷や汗を流し、マーモンは止めようと風の名前を口に出そうとした。
すると、突然自分のスマホから着信音が聞こえてきてビクッと身体を跳ねさせる。
電話?こんなに朝早くからいったい誰だ?
「風、ちょっと離して」
スマホがベッドから離れた場所にあるせいか、手が届かずに未だに自分を抱き締めている風へと離すように声をかけた。
すると、不服そうに唇を尖らせながらも風はマーモンを抱き締めていた手を離した。
マーモンは自由になった身体を少し解すように伸びをした後、ベッドから降りてスマホが置いてあるテーブルへと向かい、画面を確認した。
…スクアーロ?
こんな朝早くからいったい…って、あっちでは深夜か。
「どなたからですか?」
「スクアーロ、ちょっと電話してくるから待ってて」
「ここでお話しても」
「いや、一応機密情報だからね
君にも聞かれるわけにはいかない」
「今さらだと思いますが…」
「いいから、いい子にしてて」
ひょこっと顔を覗かせながら問いかけてくる風をなだめながら、寝室から出ていき画面に触れて通話状態へとしスマホへと耳を当てる。
「もしもし」
『よぉ、もしかして寝てたか?』
「いや、その前から起きてはいたんだけど気付くの遅くなっちゃった
そっちはまだ夜中だろう?いったいなんの用だい?
昨日の任務は特に問題なかったはずだけど」
『昨日の任務の事じゃねぇ
お前、まだジャッポーネにいるよな?』
「…?いるけど…あ、もしかして今日戻ったほうがいいかい?
どうせ今日は何もないから明日帰ろうと」
『いいや、まだいるなら好都合だ』
「好都合?」
『わりぃが、お前に頼みてぇ任務がある』
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