甘えるのが苦手なら
「味覚が加えられて口内も変化したせいか、さらに猫度が増しましたね…」
「猫度ってなにさ」
「今貴方がしている行為についてです
主人の指を噛んでしまい、謝るかのようにその指を舐めている貴方のこの行為」
「…」
風の視線の先にある指と説明に、マーモンははたと気付いたような表情を浮かべ、指から口を離して自分の唾液を服で拭う。
…別にそういう意味で舐めてたわけではなかったんだけど…というか、舐めてる自覚がなかった…。
「ごめん、君の言う通り無自覚だったよ」
「いえ、私からしてみればご褒美ですのでお気になさらず」
「ん」
発言がいちいち気持ち悪いな…だけど…。
自分の頭に手を伸ばして優しく撫で始める風をチラリと横目で見た後にふと瞳を閉じた。
…こういう風に、撫でられるのは…嫌じゃない。
撫でる風の手に頭を押し付け、その後風に少し近寄り首元へと顔を擦りつける。
「おやおや、これでは本当にね」
「…んにゃあ」
ピシッ。
「ッ!」
不意に自分の口から漏れ出た声。
それにハッとしたマーモンは慌てて口を閉じ、手で覆い隠した。
…待て、今…僕の口から…。
それよりも、風に聞かれ…。
恐る恐る風を見上げてみると、風は動きを止めてマーモンの事をジッと見ており、マーモンは"あ、これ聞かれてたやつだ…"と察して恥ずかしさから顔を赤くした。
「…見ないでくれる?」
「…先程のは…」
「いや、ほんと…勝手に口から出たと言うから、なんというか…」
「声が出るほど、よかったのですか?」
「ッい、言い方がなんか嫌だな?!」
ズイッと顔を近づけながら問われると、マーモンの顔の赤みが増していく。
「マーモン、少し失礼しますね」
「ちょ、ちょっと…やめ…」
再び自分へと伸ばされた手。
その手に戸惑っていると、今度は頬へと伸ばされ優しく撫で始める。
その手つきにゾクリと背中が震え、不意に瞳を閉じてしまう。
「あ、あの、風」
「…」
「少し、僕の、話を」
「…」
「ん」
瞳を閉じたまま風に声をかけるも返事がまったくなく、自分を撫でる手のみが動かされている。
く、くすぐったいのと…なんか、気持ちよさで…。
「ッ…ふ…うぐ…ほんと、やめ…また、出そうなんだけど…」
「いいんですよ、我慢せずに出しても」
「だ、からいちいち言い方が」
悪態をつきながら止めさせようと瞳を恐る恐る開くと、風の顔が視界に入る。
その表情はいつもと変わらない優しげな笑みで、マーモンと目が合うと顔を近づけて額へとキスを落とす。
「私しか聞いていませんので大丈夫ですよ
貴方の可愛らしい姿、声を私にすべて見せてください」
「ッ…あ…」
「…マーモン」
「…い…ッ」
「言い方がッ、いちいち厭らしい…!!」
「…そんなつもりは…」
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