甘えるのが苦手なら
「…」
「お電話終わりましたか?」
スクアーロとの電話を一通り終えたマーモンはスマホ
の画面をジッと見つめ、それに気付いた風はひょこっと顔を覗き込んでくる。
「終わったよ…あと、任務無くなったから今日は休みでいいってさ」
「おや、それなら今日はゆっくりとできますね」
ソファーに腰掛けて足を組みながら伝えると、風はパァッと表情を明るくして冷蔵庫の方へと向かっていく。
「今日もおやつを買ってきてまして…たまにはヘルシーにヨーグルトなんていかがです?
いろいろな味のものを買ってきたんですよ」
「…もらう」
…一体どういうことだ?
風の言葉を適当に流しながら、先程のスクアーロの電話の会話を思い出す。
スクアーロの話からすると、今日の早朝に先に向かっていた部下達が見張りとして置いていた部下が倒れていたのを発見し、そこからファミリーが全滅しているのが発覚。
幸い、見張りをしていた部下達は特に異常はなく気絶していただけのようだった。
深夜に定期連絡があった際は、特にそのような報告はなく、なにも動きは無かったらしい。
見張りをしていた部下達は口々に
"気付いたら気を失って倒れていた"
そう言っていたとスクアーロから報告があった。
現在スクアーロはルッスーリアと現場へ向かい、状況の確認をするとのことだった。
それで僕は、アジトに待機組と。
僕が本来受け持つ任務だったから僕が行ったほうがよかったと思うんだけど。
…これがもし、また別の…ボンゴレと敵対をするファミリーが、"ボンゴレに濡れ衣を着せるために行った犯行"だとすれば…。
「…まったく…朝からいろいろとあり過ぎる…」
考えることに疲れたのか、ソファーの背もたれに寄りかかり天井を見上げながら呟く。
あんまり考え過ぎるとまた頭が痛くなってしまう。
とりあえず、この件はスクアーロ達からの次の報告を受けてから考えればいい。
それに、僕は僕で今のこの状況をどうにかしないと…。
「大丈夫ですか?
ずいぶんとお疲れのようですが」
目の前のテーブルの上にヨーグルトの入ったカップとスプーンを置きながら、風は少し心配そうに声をかけてくる。
「…まぁ、そうだね…
君のせいでもあるんだけどね、この疲れ」
「それならば責任を持って貴方の疲れを取らないといけませんね…さぁ、私とハグをしましょう?
人と触れ合うと幸せホルモンが分泌されて疲れが取れるとか取れないとか」
「しないよ、お馬鹿」
バッと両手を広げて迫ってくる風をスルーしながら答え、マーモンはヨーグルトの入ったカップへと手を伸ばした。
「…そういえばさ」
「なんです?ハグします?」
「いや、そうじゃなくて
今回飲んだ薬は前回と同じ物だと勝手に思い込んでいたんだけど…そこのところ、ヴェルデからなにか聞いているのかい?」
「えぇ、まぁ簡単には聞いていますよ…あ」
「?」
ふと気になった薬の効果。
風へと問いかけると、風はハッとした表情を浮かべてマーモンが手にしたカップに触れる。
「え、なに?ヨーグルト食べたいんだけど」
「今回は少し改良をされたもののようでして…
以前の猫耳と尻尾…聴覚、視覚、触覚にくわえて…味覚の方も加えられたようです」
「味覚…猫の味覚についてはあまりわかってないんだよね、僕
それとヨーグルト没収について、なにか関係ある?」
「いえ…ヴェルデからは特に止められていないのですが…
味覚も猫そのものになるということは、食べ物にも配慮が必要なのではと思ったのです
ほら、食べさせてはいけないものとかあるではないですか
玉ねぎなどのネギ類はいけない、とか」
「あぁ、確かにあるね…他に何かあったっけ?」
カップを持っていた手が手持ち無沙汰になり、スマホを手にして"猫 食べてはいけないもの"と検索をしてみる。
へぇ…結構あるんだな…。
ネギ類…チョコレート…ブドウ・レーズン……カフェイン(コーヒー等)…生の魚介類・豚肉…。
別に僕としては食事は取れなくても慣れているし、生の魚介類もベルとお寿司食べるくらい…。
「このくらいなら別に問題ないね
僕としては"チョコレート"さえ食べられれば…」
「そのチョコレートも入っていますよ、食べさせてはいけないものリストに」
ピシッ。
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