甘えるのが苦手なら
「…つまり、こういう事かい?」
隣に腰掛けている風の話を一通り聞いたマーモンは、聞いた話をまとめた結果を口に出そうとする。
「今日は2/22…君の言う"猫の日"ってことで、ヴェルデから以前治験で使用した薬を買い取り、僕に飲ませた…と」
「はい、そうです」
「…まぁ、いろいろと言いたいことはあるんだけどさ」
平然とした態度で自分の行いを白状する風に対し、マーモンは深いため息をつきながら額に手を当てて言葉を続けた。
「君、さっき知らぬ存ぜぬで通そうとしてたのになんでいきなり暴露したのさ」
「本当は最後まで隠し通すつもりでしたが、貴方のあまりの可愛さに屈してしまい…マーモンの力、恐るべし…ッ」
「君が勝手に自滅しただけじゃないか…そもそも」
「?」
「…僕、この姿にいい思い出ないんだけど…」
※"嫌味な奴に一泡を"参照
自分の確認不足のせいとはいえ、本当に悲惨な目にあった…。
それに…発情…とか…そういうのもあったし…。
「あれはそうですね…ふふ…マーモンからしてみれば大変だったと思いますが、私からしてみれば…ご褒美、といいますか」
「鼻血垂れてるよ、変態…あ」
そうだ、任務。
頬を赤らめ鼻血をタラリと流しながら思い出す風にティッシュの箱を投げ渡し、マーモンは思い出したかのように声を上げて立ち上がる。
壁掛け時計を見てみると、時刻はいつの間にか8時になっていた。
…よかった、まだ間に合う…。
「風、解毒剤持ってるんだろう?
さっさと渡して」
「え?」
「え、じゃないよ
僕今日午後から任務あるんだから
それに、行く前にシャワーも浴びたいし」
「持ってないですよ?」
スッと風へと手を差し出しながら言うも、さらりと返事をしながら風はマーモンの差し出された手に自分の手をポンッと乗せる。
その返事にマーモンはピクリと反応し、風を見上げた。
「…なんだって?」
「だから、持ってないです」
「なんで持っていないのさ
こういう時、君は念の為とか用意周到じゃないか」
「そう言われましても…持っていないものは持っていないですし…」
「…」
ススーッと視線を逸らしながら言う風の姿に、マーモンはジトリとした視線を向ける。
…こいつ、本当は持ってるな…?
「…風」
「…なんでしょう?」
「…持っているなら、さっさと」
〜♪
風へと飛びかかろうとした瞬間、スマホから着信音が鳴り出してマーモンはピタリと動きを止めてスマホへと手を伸ばした。
そこにはスクアーロの名前が表示されており、"珍しいな"と思いながらも応答ボタンを押した。
「もしもし、スクアーロ?」
『よぉ、起きてんならよかった
今日の任務の件で連絡だ』
「任務?あぁ、時間でも早めるの?
それなら今から…」
『いや、ちげぇ
今日の任務なんだが、中止になった』
「…中止?
今日はボンゴレに敵対しているファミリーの殲滅だったろう?
なにか不都合でもあったのかい?」
『…』
「…スクアーロ?」
黙り込んでしまったスクアーロに不思議そうに名前を呼ぶと、スマホ越しに小さなため息が聞こえてくる。
『…そのファミリーなんだがな…』
『今朝、全滅してたんだとよ』
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