甘えるのが苦手なら
「これまた…愛らしい姿になりましたね…」
部屋の中へと戻り、ソファーに腰掛けるマーモンの背後から風の声が聞こえてくる。
その声を聞きながらマーモンは風へと体を向けるとジトリとした目つきでジッと見上げた。
「以前と同じ白色…これはランダム性とかではなく、固定されたものなのでしょうか
私としましては、どの毛色のマーモンも素敵だと思いますのでなんでもいいのですが」
「…」
「あ、写真撮ってもいいですか?」
「…ねぇ、風」
「どうしました、マーモン?
流石にそれほどまでに熱い眼差しを向けられると私も少し恥ずかしいのですが…」
テレッと少し照れたように微笑む風をマーモンは依然として見つめ続ける。
「…さっき気づいた時から考えていたのだけれど
これは、君のせいなのかい?」
「これ、というのは…?」
「これだよ、これ」
自分からの問いかけにきょとんとした表情を浮かべる風に、マーモンは猫耳を指差し尻尾をゆらりと揺らした。
「僕としては、これは以前僕が治験で飲んだあの薬と同じ物だと思ってる
そして、もしそうであればその薬を身近で知っているのは君だけ
なおかつ、症状が出た時間帯を考えると…昨日の夜あたりに僕に飲ませることが出来た人物…」
「それが私、ということですか?」
「君以外に考えられないんだよね」
「…ですが、私は貴方に薬を飲ませた覚えはありませんよ?」
「それは、プリンに入れるとかさ
昨日の夜はベルと外食だからベルがそういうことをするとは考えられないし、それ以外に口にしたのは君が持ってきてくれたプリンだけだからね
まさか君が僕に一服盛るとは…覚悟は出来ているんだろうね」
「マーモン、少し待ってください」
ふーっと息を吐き出した後にフード越しにキッと風へと鋭い視線を向け、にゅるりと触手を服の隙間から出しながら立ち上がると風はスッとマーモンの目の前に手を出して制した。
「なんだよ、言い訳ならあとで」
「…バレてしまったのなら仕方ありませんね…」
諦めたかのように風はそう言うとマーモンの目の前へと近付いた。
「…マーモン、これには理由があるのです」
「理由?」
「えぇ…それは…」
「今日が猫の日だからです」
「…は?」
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