頭の中では分かっているが


「…」

自分の背中にぴたりとくっついたまま、なにも反応を示さないマーモンに風は女性達に背中を向けてマーモンへと身体を向けた。

「すいません、遅くなってしまい…もしかして私の事待っていましたよね?」

「小さいお兄…さん?もよかったら一緒にどうですか?
こっちのお兄さんをバーに誘ってて」

ピクッ。

風の背後からひょこっと女性が顔を覗かせ、マーモンの姿を見ると同様に誘い始める。

私だけならまだしも…マーモンまでとなると…。

「申し訳ありませんが、私達は」

「悪いけど」

風が口を開こうとすると、マーモンはそれに被せるように言葉を発しながら風の腕へとギュッと抱きついて口元に妖艶な笑みを浮かべた。











「こいつ、僕のだから」









「…」

「ほら、行くよ風」

言葉に驚いたように目を見開いていると、マーモンがクイッと抱きついていた腕を引っ張り、ぽーっとした表情でマーモンを見ていた女性達を置いて風は引っ張られるがままその場を離れた。

「あの、マーモン」

「ム?」

少し歩いた後、風が声を掛けるとマーモンは歩みを止めて風へと顔を向ける。

「なに?」

「いえ…なぜあの場に現れたのかと…」

「君を探しに来たからに決まってるじゃないか
僕がお風呂から出てもまだいなかったから」

「本当は早くに出ていたのですが…ルームキー、忘れてしまいまして…」

「…あ、そっか
それは考えてなかった…これ、1つしかもらってなかったもんね」

ゴソゴソと自分のポケットからマーモンは1枚のカードを取り出しながら言い、フイッと風から顔を逸らす。

「すいません、私もルームキーの存在を忘れていまして」

「君はこういう施設に慣れていないだろうからね、仕方ないさ」

そう言いながら歩みを進めるマーモンの後を追い、風は隣へと並ぶと歩く速さをマーモンへと合わせた。

「マーモン」

「今度は何?」

「先程はありがとうございます」

「先程っていうのは?」

「女性達に声をかけられた所を助けられたので…」

「…別に君のためじゃないよ」

風の言葉にマーモンがチラリと視線を向け、すぐに逸らすと深いため息をつく。

「君、彼女達に説教まがいの事をしようとしていたからね
君の説教は長いから、彼女達を助けたに過ぎないよ」

「説教ではありません、諭してあげようと」

「受け取る側としては一緒だよ…まったく」










「君、かっこいいんだから1人で出歩くのやめてよね
僕の恋人なんでしょう?」











「…」

「おい、なんとか言ったらどうだい?」

恥ずかしげに頬を微かに染めながら無反応の風に顔を向けるマーモン。

「…すいません…嬉しさと、マーモンの可愛らしい容姿とイケメンな行動とのギャップに今胸が大変なことになっていまして」

「イケメン…何言ってんの、君」











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