根本的な話だけれど


「…それで…話って何?」

ツナの部屋へと通されたマーモンは、ベットに腰掛けるリボーンとは正反対の位置に座りながら問いかける。

「もうそろそろ夕方になるからホテルに戻りたいんだけど」

「お前、ほんっとブレねぇな」

「だって、僕としては君にジャケットを返すだけの用だったし
話があるのは沢田綱吉だけだったからね
だから君と話すも何もないのさ」

「…まぁ、いい
お前がそんな調子なのはいつものことだからな…
話というか、聞きたいことがあったのは確かだ」

「…?聞きたいこと?」










「お前、風の事好きなのか?」










「…」

リボーンからの突然の問いかけにマーモンはピクリと反応を示し、ジッとリボーンへと視線を送る。

「…何を言い出すのかと思えば」

「さっき、キスしてるの見たからな
それで、どうなんだよ」

「…」

「前までは散々、あいつの事嫌いだなんだって言ってたお前が、すんなりキスなんてさせるわけがねぇ」

「…」

「おい、なんとか言ったらどうなんだ?マーモン」

うん、まぁ…やっぱり聞かれるよなぁ…。
さっき、キスしてるところ見られてたし…こいつにはバレたくないと思ってたんだけど…。

痛いほど刺さるリボーンの視線に、マーモンはフードの裾を掴んで深めにかぶり直す。

「マー」

「…だよ…」

「あ?今なんて」










「風の事…好きって、言ったんだよ…」










言葉を発した瞬間に、自分の顔がやたらと熱く感じた。
その顔を隠すように、さらにフードを深く被る。

「…付き合ってるのか?」

「…そのつもりはなかったんだけどね…あいつがしつこいから…」

「…っはぁ…なんだ…自覚したんだな、お前」

マーモンの言葉にリボーンは息を吐きながら言葉を発する。
その言葉にマーモンは疑問を抱き、首を傾げた。

「自覚?」

「俺はその時から、お前が風の事好きだと分かってたんだよ
襲う前じゃねぇぞ、襲った後…正確に言えば帰る時だな」

「帰る時…」

確かに、リボーンと風と少しだけど話をした覚えがある。

「イタリアじゃ、挨拶でキスするのは別に珍しいことじゃねぇのにお前、風とは"恥ずかしいから嫌だ"とか言ってたじゃねぇか
普通なら"嫌いだから"とかそういう理由で断るのに、恥ずかしいからって…中学生かよ」

「う、うるさいな…恥ずかしいものは恥ずかしいんだよ!
お前みたいに経験豊富な奴と一緒にしないでくれる?!」

「そんなんで、風と付き合っていけんのかよ
キスだけでそんな反応なのによ」

「大きなお世話すぎるんだけど!
…そりゃ…まぁ…後々は…その…そういう事するかもしれないけど…まだ付き合って一週間だし…」

「…むっつりだな、お前」

「む…ッ?!」

「お前がまさかそこまで考えてるとはなぁ?
やっぱ年相応な考えは持ってんだな、そういうのには疎いと思ってたが」

マーモンの言動ににやにやとしているリボーンを見て、マーモンは恥ずかしさから顔を真っ赤にしリボーンから思い切り顔をそらした。

「う、うるさい奴だな…そういうのが言いたかっただけならもう話すことないだろう?!僕かえ」

「まぁ、待てよ」

「なんだよ、まだなにかあるわ…け…」

この場にいる理由を感じずに立ち上がろうとすると、声をかけられて顔をリボーンへと向けようとした。
しかし、いつの間にか目の前に来ていたのかリボーンの顔が近くにあり、そのまま視界がぐらりと揺れて、気付くと天井を見上げていた。

「…おい、リボーン」

「あ?なんだよ」

押し倒されていることに気付き、自分を見下ろしているリボーンへと声を掛ける。
リボーンはマーモンが逃げられないようにと、足の間に自分の片足を入れて顔の横に両手をついた。

「これはどういうことだい?」

「風との行為の前に予行練習してやろうかと」

「馬鹿なこと言ってないで離れてくれる?
そもそも、自分の教え子の部屋でやろうとするなよ」

「なんだ、動揺しねぇのか」

「しないよ、この手のことは何度も君にされてるからね」

「…チッ、つまらねぇな」

マーモンの平然とした態度にリボーンはつまらなそうに舌打ちをして上から退くと、マーモンは小さく息を吐きながら上体を起こした。

「まったく…君は君で愛人がいるんだからこういうことはやめてよね」

「やめねぇよ、お前も俺のものにするんだからな」

「また馬鹿なことを…」

そう言うとリボーンの手が自分の肩に触れ、ジッと真剣な眼差しを向けられ、マーモンは言葉を失い、その瞳を見つめ返す。

「馬鹿だと思ってくれても構わねぇ…だがな…」











「俺の諦めの悪さは、あいつになんて負けやしねぇぞ」











「…」

「…んま、そういうことだ」

パッと伝えたいことを言った後に、リボーンはマーモンの肩から手を離して立ち上がる。

「お前があいつのことを好きだろうが関係ねぇよ
俺は、俺の好きなようにお前に思いを伝えるだけだ」

「…」

「おい、聞いてんのかマーモン」

「…え?」

反応を示さないマーモンに再度声を掛けると、マーモンはハッとした表情を浮かべてリボーンを見上げた。

「俺の話聞いてたかって聞いてんだよ」

「…あぁ、うん…聞いていたよ」

「その割には反応薄いじゃねぇか」

「いや…まぁ…だって…」











「誰彼構わずそういう事言ってんだろうなぁ、と思って」

「…お前の中の俺のイメージ、どうなってんだよ」











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