根本的な話だけれど
ピンポーン。
目の前の家の呼び鈴を押すとチャイムが鳴り、少し待つとバタバタと中から音が聞こえ扉がガチャリと開けられる。
「あ、マーモンいらっしゃい!」
扉が開けられると、そこにはツナの姿がありマーモンの姿を視界に入れるとへらりと気の抜けたような笑顔で出迎えた。
「…やぁ、久しぶり」
「リボーンはまだ戻ってきてないから、先に中で待ってて
今、かあさんもランボ達もいないから」
玄関に入るように促されて中へと入りながらツナからの説明を受け、靴を脱いで上がる。
普段、自分が住んでいるアジトとは違い、とても小さく感じた。
そのままリビングに通されたマーモンは、"そこ座ってて"と言われて大人しくリビングにちょこんと座り、台所へと向かうツナの背中を見た後に、室内をきょろきょろと見渡した。
「どうしたの?」
自分の行動を不思議そうに見ながら台所からお盆に飲み物が入ったコップを運びながらツナが問いかけてきて、マーモンは見渡すのをやめる。
「いや…君の家、入ったことがなかったから…
なんというか…小さい」
「小さいってどういうこと?!」
「ヴァリアーのアジトはもっと広いからね」
「あ、あぁ…アジトに比べたらそりゃ小さいよ…」
テーブルの上にコップを置かれ、"ありがと"と礼を言うと、ツナはマーモンの対面へと腰掛けた。
「…リボーンから聞いたけど、なんか俺にも用があるって…」
「…ん、あぁそうそう…この前は世話になったからね」
「世話って…なにかあったっけ…」
「ほら、2、3ヶ月前に並盛中で骸と一緒に」
「2ヶ月…あ、風さんを探してた時のこと?」
「あの後、君の言う通りリボーンに仕方なく聞いて見つけられたからね…」
"はい、これ"とマーモンが持ってきた紙袋を差し出すと、ツナは不思議そうに受け取り中身をひょこっと覗き見た。
「…あ、お菓子だ」
「ここにはちびっこ達がいるようだし、若い子が好きなものとか分からないからね…それなら食べれるかなって」
「ありがとう!ランボ達も喜ぶよ…って、マーモンも相当若いと思うけど…俺と同じくらいじゃないの?」
「…そんなに僕の見た目って若い?」
「え、うん…若いけど…」
「毎回、年齢の話になるとそう思われるんだよね…
残念ながら、肉体的にはスクアーロと同じくらいだよ…中身はもうおじさんだけどね」
「その見た目でおじさんって、なんか脳内混乱するんですけど…
…あ、あのさ…マーモン」
「ム?なんだい」
おずおずと声を掛けるツナにマーモンは出されたコップに口をつけてお茶を飲みながら首を傾げる。
「あの時、骸と一緒にいたけど…いったいなにしてたの?
風さん探してたし、骸も骸で…たぶん、雲雀さんのこと探してたと思うんだけど…」
「…」
「い、言いたくなかったらいいんだけど!なんか…気になっちゃって…
ボンゴレリング争奪戦の時のお互いの印象からして、どっちもお互いのことよく思ってなさそうだったし…」
「…別に、悪いことは企んでないよ」
フード越しにツナを見つめていると、少し心配そうに言う姿にコップをテーブルへと戻しながらマーモンは告げた。
「君になにかしたら、ボスに変な容疑がかかってしまうしね」
「ならなんで…」
「ここから先の情報が欲しければ、お金、払ってもらおうか」
「んぇ?!」
「…ぷくく」
口元に笑みを浮かべて頬杖をつきながら言うと、ツナは驚いたように声を上げ、その様子がおかしくてマーモンは小さく笑った。
「さすがに貧乏人からお金を取る趣味はしてないから、安心しなよ」
「び、貧乏人って…」
「さっきも言った通り、悪いことはしてないからね
ただ、その時は骸と目的が一緒だったから行動してただけ」
「それが、風さんと雲雀さんを探すことだったってこと?」
「単刀直入に言えば、そうだよ
2人して戦い好きだから、困ったものだね…まったく
そのおかげで、どれだけ僕が探す羽目になったことか…」
「…」
その時の事を思い出して、マーモンがめんどくさそうに言うとふとツナからの視線に気付いて顔を向ける。
「ねぇ、なんで僕のこと見てるの
なにか顔についてる?」
「あ、ご、ごめん!
なんか…さっきから思ってたんだけどさ…」
「すごく…幸せそうな顔して、風さんの事話してるなぁ、と思って」
「…は?」
「俺さ、マーモンのことはリング争奪戦の時とかしかよく見たことなかったんだけど…そういう顔するって、初めて知ったからさ
そんなに風さんのこと好きなんだなぁ、って思って」
「…」
ふにゃりと柔らかな笑みを浮かべながら頭をかくツナに、マーモンはぽかんとした後、自分の顔を隠すようにフードを深く被り直した。
「…何を言い出すのかと思えば」
「別に恥ずかしがることないと思うよ?
俺だって、獄寺くんや山本、お兄さんのこと好きだし…あ!も、もちろん友達としてだよ?!」
「わかってるさ…まったく…
君は相当な人たらしのようだね、10代目様」
「人たらし?!」
ガンッとマーモンの発言にショックを受けているツナを他所に、マーモンは立ち上がり、もう一つ持ってきていた紙袋をツナへと差し出した。
「僕はもう帰るから、リボーンにこれ渡しておいてくれるかい?」
「え?でもリボーンと話はいいの?」
「うん、どうせジャケット返しに来ただけだからね…
それに、君と話してお腹いっぱいになったし」
「お腹いっぱいって…そんなに話ししたつもりはないけど…」
「それだけ君との話が面白かったってことさ」
「面白い要素なんてあった?!」
「今度はボス、連れてくるよ
たぶん君のこと見たらカッ消すだろうけど」
「い、いいいいい!!連れてこなくていいから!」
「そう、それは残念」
玄関へとマーモンを見送るツナと、ブーツを履き終えたマーモンはくるりとツナへと身体を向けた。
「それじゃ、お邪魔しました」
「うん、帰り気をつけてね?」
「僕を誰だと思ってるのさ
リボーンへの荷物、ちゃんと渡してね」
「ちゃんと渡すって!あ、マーモン」
「ム?」
ドアノブに手をかけてゆっくりと開けていると、背後からツナの呼び止める声が聞こえて歩みを止めて振り返る。
「今度は風さんも一緒に連れてきてよ
イーピンも喜ぶからさ」
「…約束はしないけど…まぁ…覚えていたらね」
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