過剰供給
「...と、いうことでして」
風はマーモンのことを誤魔化しながら話をしていき、話終えるとテーブルに肘をついて頭を抱えた。
「そのまま食えばよかったじゃねーか、コラ」
「そんなことできませんよ、思いが通じ合ったばかりですし」
「キスはしたのにか?」
「それは...まぁ…」
「まぁ、話聞いてる限りはそうだろうけどよ
その後は結局会ってるのか、コラ」
「...いえ...かれこれ3日間会いに行けてません」
「お前って、マーモンにはぐいぐい行ってたのにそういうとこはヘタレなんだな」
「ヘタレって...こうなるのも当たり前でしょう
好きな人を大事にしたいと思う気持ちがあるのですから奥手にもなります」
「週6で通ってるやつが奥手なわけねーだろ、コラ
別に普通に会いに行けばいいしゃねーか、脈ありなんだしよ」
「...怖いんですよ」
「怖い?」
「だって、相手の気持ちも考えずに獣のように襲いかけたのですよ?
幻滅されたに決まってます...
以前まで嫌われていて、やっと私の努力が実って好きになっていただけたのに...再び嫌われるのは、怖いです
最初から嫌われていたのなら気にしませんが、好きになっているのに、そこから嫌われるのは耐えられません」
「...ならなおさら確認しねぇといけねーだろ、コラ」
淡々と語っていき、寂しげな表情を浮かべる風をジッと見ていたコロネロは小さく息を吐きながら立ち上がる。
「いつまでもそこでうだうだしてても変わらねーし、下手したら本当に嫌われちまうかもだぜ?」
「...そうですが」
「それに、もしかしたらその間にまた盗られるかもしれねーぞ?
そうなった場合、お前耐えられんの?嫌われる以上によ」
「それは嫌です!」
コロネロの言葉にバッと顔を上げる風。するとコロネロと視線が合い、コロネロはニッとはにかみながら背中を向けた。
「ならさっさと行ってやれよ、コラ
この借りはまた今度返してくれればいいからよ」
「...はい、ありがとうございましたコロネロ
この借りは...必ず」
ヒラヒラと手を振りながら店から出ていくコロネロの後ろ姿を見送った風は残った紅茶を飲み干した。
「...さて」
マーモンに会いに行きましょうか。
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